秋の気配に「米国西海岸ジャズ」
毎年8月後半のこの時期、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の恒例の「1970年代ロック祭り」を終えて、さて、今日からジャズ主体の話題に戻りましょう。
しかし、涼しくなりました。我が千葉県北西部地方、今日の最低気温は20度、最高気温は22度。これは10月上旬の陽気。しかも、秋雨前線の影響で、朝からしとしと霧雨が降り続く鬱陶しい一日。まだ8月なんですが、こんなに気温が下がったのは、ここ30年間で記憶がありません。とにかく涼しい。
さて、涼しくなると、様々なジャンルのジャズを聴く気になります。暑い時は、硬派なメインストリーム・ジャズや、熱気溢れるフリー・ジャズなどは絶対に避けたくなるんですが、ここまで涼しくなると大丈夫です。と言いつつ、今年の夏は「酷暑」。酷暑の後の余韻に浸りつつ、涼しい夜、聴き心地の良い、西海岸ジャズのアルバムを選択しました。
そのアルバムとは、Gerry Mulligan『What Is There to Say?』(写真左)。1958年12月から1959年1月にかけての録音。ちなみにパーソネルは、Gerry Mulligan (bs), Art Farmer (tp), Bill Crow (b), Dave Bailey (ds)。西海岸ジャズの雄、バリトン・サックスのジェリー・マリガンのリーダー作です。
このアルバム、冒頭のタイトル曲を聴けば良く判るんですが、明快に「米国西海岸ジャズ」の特徴を満載しています。ほど良くアレンジされた聴き心地の良い旋律、独特の響きを持った洒落たユニゾン&ハーモニー、落ち着いたクールなアドリブ展開、という米国西海岸ジャズの個性が、このアルバムにしっかりと根付いています。
そして、やはり聴きどころは、ジェリー・マリガンのバリトン・サックスでしょう。マリガンのバリトン・サックスは、クールで柔軟でマイルドな音作りが特徴で、実に粋で実にお洒落。それと、このアルバムを聴いていて思うのは、マリガンとファーマーの相性の良さ。良い感じですね。
加えて、このカルテット演奏は「ピアノレス」。ピアノのブロック・コードにリズム&ビートを制御されること無く、フロントのバリトン・サックスとトランペットが、柔軟にアドリブ・フレーズを展開していて、このアルバムについては、ピアノレス・カルテットの演奏として「成功」を収めている優れものです。
涼しくなって秋の気配。そんな秋の気配濃厚な季節、程良くコントロールされ程良くアレンジされ、楽器の重なり&響きがクールな米国西海岸ジャズに耳を傾けるひととき。至福のひとときです。
震災から4年5ヶ月。決して忘れない。まだ4年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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