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2015年8月 6日 (木曜日)

暑い夏、聴くジャズは「ギター」

暑い夏、酷暑の夏。今日も暑かった。今日も東京は最高気温36度。夕方6時過ぎには久し振りに震度4の地震のおまけ付きである。

暑い夏に聴くジャズは、決まって「ギター」が優先。テナーやペットは暑苦しくていけない。ギターは爽快感があって耳当たりが良い。ギタリストは選ばなければならないが、「夏にはギター」が、我がバーチャル音楽喫茶『松和』の長年の習わしである。

そんな習わしの中で選んだアルバムが、George Benson『I Got a Woman and Some Blues』(写真左)。1969年に録音されたが、1984年までリリースされなかった音源である。ちなみにパーソネルは、リーダーでギター+ボーカルのジョージ・ベンソン以外、不詳。この記録の不備が、1984年までリリースされなかった理由の一つかもしれない。

収録された演奏は当時の未発表テイクを含む、6つのセッションからの落ち穂拾い集である。落ち穂拾い集というのは、アルバム全体の統一感が損なわれる傾向が強いが、このベンソンの落ち穂拾い集はそんな印象は全く無い。逆に、意外と統一感があって、一つのセッションからの正式盤ではないか、とも聴き取れる。

1969年の6つのセッションからの寄せ集めではあるが、もう既にベンソンは唄っている。それも実に堂々と唄っていて、ウエスの様に弾き、自らが唄うギタリストであるジョージ・ベンソンの個性が既にしっかりと確立されているのに感心する。とにかく、この落ち穂拾い集に収録されているベンソンの唄は実に味がある。
 

I_got_a_woman

 
唄の傍らで弾くギターも堂々としたものだ。イメージは「ウエス・モンゴメリー」。オクターブ奏法も堂に入っており、ぼ〜っと聴いていたら、ウエスのアルバムかと勘違いしそうなほど良く似ている。が、ベンソンの方が明らかにポップ。ウエスはそこはかと無く、伝統的な古き良き時代のジャズ・ギターの雰囲気を引き摺っているが、ベンソンはそこはスカッと抜けている。

イージーリスニング・ジャズと言われようが、ムード・ジャズと言われようが、これは俺のジャズ・ギターのスタイルなんだ、という、ベンソンの絶大なる自信めいた矜持が窺い知れる。とにかく、ギターも唄も堂々としていて爽快である。

そういう爽快なところが僕はお気に入りである。フュージョン・ジャズ系のギタリストの中では、このベンソンは真っ先に僕のお気に入りギタリストになった。最初のお気に入り盤は『In Concert-Carnegie Hall(邦題:サマータイム2001)』(2013年7月24日のブログ参照・左をクリック)だった。

この落ち穂拾い盤『I Got a Woman and Some Blues』も「なかなか」である。出会って5年ほどになるが、意外と気軽に聴くベンソン盤である。ベンソンのギターと唄はポップ。でも、底にはしっかりジャズがある。そこが良い。
 
 
 
★震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

若い人の中にはベンソンは歌手でギターもうまい、なんて人もいますよね。笑
でもマスターが仰せのとうりベンソンはギターも歌も超一流ですよね。^^
「買ってはずれのないアーティスト」というのが私の評価基準のひとつでもありますが、ベンソンもそんなマエストロの一人ですよね。

「腐っても鯛」といいますが、私はこの基準を大切にレコード集めをしてきたように思います。

趣味の世界は独特で「自分がよければそれでOK」ですので、同じジャズフアンでも好き嫌いはそれぞれですし、ましてやオーディオの世界なんて
お金をかけてコード類やらスペーサー、電源いじりを繰り返すうちに「変化のための投資」の結果おそるべき個性的な音」になっていても、本人が満足していればOKなわけで。。(^^♪

若い人から「入門用に最適なジャズCDは?」と聴かれると「ジャズを聴きたくて」「雨の日のジャズ」などのコンピ盤を薦めています。

たとえば「サキコロ」を薦めて「古臭い」と言う人で「カインドオブブルー」は「かっこいい」と言う人はその後「ジャズ者」になるケースが多いですが、それ以外の人はコンピ盤を4,5枚集めて満足してしまうのでそれはそれでいいのだろうなあ、、とか。笑

今ジャズはラジオ、テレビからも姿を消しつつあり、「ハレの場」?とも思えたSJ誌も姿を消してしまい、今後どうなっていくのかなあ?との一抹の不安を感じつつ、これまで先人が残してくれた膨大な「旬のジャズ」を追いかけるだけでも自分の余生は足りないなあ・・などと、「酷暑」のせいで妄想しきりのこの頃です。^_^;

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