もともとマクリーンはフリーキー
ジャッキー・マクリーンは、1960年代前半、突如、フリーキーなジャズへと転身した、なんてことを言われるが、じゃあ、それ以前のマクリーンって、メインストリーム・ジャズど真ん中の、メロディアスなアドリブ・フレーズで聴く者を魅了していたのか、と言えば、それは違うだろう。
このアルバムを聴いてみる。Jackie McLean『Makin' the Changes』(写真左)。1957年2月と8月の録音。リリースは1960年。プレスティッジ・レーベルお得意の2つのセッションの寄せ集めアルバム。恐らく、ふっと気がつくと、そこに残っていた音源だったんだろう。
ちなみにパーソネルは、トラック1,3,4は2月のセッションで、Jackie McLean (as), Mal Waldron (p), Arthur Phipps (b), Art Taylor (ds)。トラック2と5,6は8月のセッション、Jackie McLean (as), Curtis Fuller (tb), Webster Young (tp), Gil Coggins (p), Paul Chambers (b), Louis Hayes (ds)。
2月のセッションは「このベースって誰」、8月のセッションは「このピアノって誰」って感じで、演奏全体の雰囲気はバリバリのハードバップだが、演奏のレベルは「中の上」ってところかなあ。可も無く不可も無くというところ。
しかし、ジャッキー・マクリーンのアルトは好調である。少しピッチが外れた独特の音色。全くメロディアスで無い、幾何学模様のアドリブ・フレーズ。オールド・スタイルなジャズの雰囲気の微塵も無い、結構、前衛的なフレーズが小気味良い。それでも、このマクリーンの音色は好き嫌いがはっきり分かれるだろうなあ。
とにかく、この1957年のセッションにして、マクリーンのアルトは若干フリーキーである。もともと、ピッチが少し外れた音が、これまたアバンギャルトな雰囲気を醸し出している。このアルトを捕まえて、1960年代前半、突如、フリーキーなジャズへと転身した、なんてことは当たらないだろう。
僕は「落ち着くところに落ち着いた」と思っている。マクリーンのアルトの個性を鑑みると、ややフリーキーでモーダルな幾何学フレーズに、そのスタイルを固定したのは、いわゆる「水を得た魚」だと感じている。マクリーンのアルトの個性をオーソドックスなハードバップに閉じ込めることの方が無理がある。
もともと、マクリーンはややフリーキーでモーダルで幾何学フレーズ。この1957年のセッションを聴いていてもそう感じる。確かに、メロディアスなアドリブ・フレーズで聴く者を魅了していたマクリーンなんて聴いたことが無い。
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