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2015年8月19日 (水曜日)

愛しのモンク・イン・トーキョー

セロニアス・モンクのピアノは独特の個性である。孤高のピアニストである。この独特の癖のあるアドリブ・フレーズは唯一無二。真のフォロワーはいない。あの独特のタイム感覚はフォロワーを作らない。

僕はこのセロニアス・モンクのピアノが大好きだ。自分でもピアノを少し弾けるので感じるのだが、このモンクのピアノは面白い。弾いていて楽しい。恐らく、モンク自身も結構楽しんで弾いていたのではないか。

そんなモンクのピアノ、時々、無性に聴きたくなる。ので、結構、定期的にモンクのアルバムを聴く機会を作る。モンクのアルバムの聴き直しは一通り済んでいるので、今回はライブ盤を中心に聴き直している。

今日はこのライブ盤を聴く。Thelonious Monk『Monk in Tokyo』(写真左)。1963年5月21日、東京はサンケイホールでのライブ録音。来日公演のコピー「モダン・ジャズの未知の世界を聞く、高僧セロニアス・モンク四重奏団公演」。パーソネルは、Charlie Rouse (ts), Thelonious Monk (p), Butch Warren (b), Frankie Dunlop (ds) 。

僕はこのモンクの来日公演のライブ盤に、セロニアス・モンクの、セロニアス・モンク四重奏団の真面目さと純朴さと誠実さを感じて止まない。このライブ盤に収録されている演奏は、決して絶好調のモンクではない。とにかく硬い。そして、とにかく安全運転である。

そんなモンクの気持ち、モンク四重奏団の気持ちは良く判る。あまり良く知らない極東の地「日本」。黒い髪の毛、黄色い肌、背格好がちょっと小ぶりな人達。そんな人達がサンケイホールに集結。しかも、自分達の演奏を大いに評価し、大いに楽しみしているのだ。
 

Monk_in_tokyo

 
嬉しいやら、ちょっと怖いやら。そんなモンク四重奏団の気持ちが良く判る。その気持ちがこのライブ盤の演奏に反映されているようだ。自分達の演奏を大いに評価し、大いに楽しみしている、異国の地の人達。その期待に応えなければ、その想いに応えなければ、と思って、緊張して演奏に立ち向かう。

硬くもなるし、破綻を避けた、ミスタッチ、ミストーンを避けた、安全運転な聴き心地の良い、こぢんまりした演奏になってしまうのは否めない。とにかく精一杯、よそ行きを着た、カッチリした演奏に終始している。でも、僕はこのライブ盤のモンク四重奏団の演奏が愛おしい。

モンク四重奏団の真面目さと純朴さと誠実さを十分に感じる。モンク四重奏団からすると、日本人の聴衆ってほとんど初対面。日本も初めて訪れる遠い異国の地。そんな状態で、最高の演奏をいきなり出来る筈が無い。それでも、このライブ盤から感じるのは、モンク四重奏団の演奏は決して「ええかげんものでは無い」ということ。

実は、このライブ盤、日本ではあまり評判は芳しく無い。確かに、モンクの最高のインプロビゼーションと比べたら、硬いし、こぢんまりしている。よそ行きの演奏である。でもなあ、カッチリしてるし、大人しい演奏やけどミスは皆無やし。とにかく、モンクって誠実な人なんやな〜、と変なところに感心してしまうんやなあ。

とにかく、辛口の評に怯んで聴かないでおくには、ちょっと勿体ないと思う。カッチリしている分、軽い気持ちで気軽に聴ける、モンクのライブ盤です。僕は意外とこのライブ盤が好きです。

 
 

震災から4年5ヶ月。決して忘れない。まだ4年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

モンク、「文句なし!」ですよね。(^^ゞ

私のモンクの一番の愛聴盤は「ソロモンク(モンクランズデイープ)」(ヴォーグ盤)、とくに「煙が眼にしみる」です。

昔読んだある本で「モンクやカウントベイシーの初期のスタイルは豪華絢爛なファッツウォーラー風であった」とありました。極初期のセッションマンとしてのこの二人のスタイルがそんな風だったとは実に意外でしたが、後年たまたまさがしあてたあるアルバムでの最初期のモンクのスタイルはまさにそんな感じで驚きでした。

そしてモンクもベイシーもそこから自分のスタイルを作り上げたわけですが、特にモンクのピアノは「半音のさらに半音をだそうとするかのような」と言われる独特のスタイルが実に魅力的ですよね。

また、モンクバンドのレギュラーのテナーマンのチャーリーラウズですが、モンクバンドを離れた自分のアルバムでは実に味わい深い味をだすことが多いのも驚きですね。「ヤー」(エピック盤)などは録音の良さもあり大好きです。^^

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