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2015年8月17日 (月曜日)

日本人発の先進的なエレ・ジャズ

今からちょうど40年前。1975年2月、エレクトリック・マイスルの日本公演、後の『アガルタ』『パンゲア』の世界からジャズに入った経緯があるので、1960年代終盤から1970年代前半のエレクトリック・マイルスは大好きである。

そんな1960年代終盤から1970年代前半のエレクトリック・マイルスを踏襲する日本人集団がある。日本のジャズ・サックス奏者、菊地成孔が主宰のビッグバンドdCprG(ディー・シー・ピー・アール・ジー)である。「dCprG」とは何の略か。「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」の略である。

このdCprGが、1960年代終盤から1970年代前半のエレクトリック・マイルスのコンセプトをベースに、ポリリズム中心のリズム&ビート、ファンク・ビートを織り交ぜながら、現代音楽からフリー・ジャズの要素を取り入れたエレクトリックなジャズをやるのだ。

しかも、このdCprG、1960年代終盤から1970年代前半のエレクトリック・マイルスを踏襲するだけでなく、現代的な音の要素や電子音、現代音楽的な効果音などを取り入れ、21世紀のエレクトリック・マイルスな音世界を現出している。

当初はCDJ、キーボード、テナーサックスを兼任するバンドマスターの菊地の他に、キーボード、ギター2人、ベース、ドラムス2人、パーカッション、タブラ、ソプラノサックスの10人編成で結成。ブラスセクション(トロンボーン、トランペット、チューバ)が増員された場合、最大14人編成のビッグバンドである。
 

Dcprg_pbsaf_sino

 
まずはこのアルバムからだろう。デビューアルバムの『Pan-american Beef Stake Art Federations / Sino(全米ビーフステーキ・アート連盟)』(写真左)。2001年のリリース。菊地成孔の「DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN」の初音源は、このROVOとのスプリット・アルバム。

破壊的なdCprGに対しあくまで踊る事を提供するROVO。しかし、どちらにしても、このアルバムに詰まった音世界は、まさに「1960年代終盤から1970年代前半のエレクトリック・マイルス」そして、キング・クリムゾンの「Nuovo Metal(ヌーヴォ・メタル)」。目眩くポリリズム。飛翔するファンクビート。

収録されている曲はと言えば、「Sino(ROVO)」と「Pan-american Beef Stake Art Federations(dCprG)」の2曲。どちらも30分強の曲なんだが、全く飽きない。長い曲、インスト中心、観念的、大仕掛けな展開。これって「プログレッシブ・ロック」の定義やん(笑)。このdCprG/ROVOの音世界は、さしずめ「プログレッシブ・ジャズ」である。さすがにビッグバンド編成のエレクトリック・ジャズなので迫力がある。

しかし、この1960年代終盤から1970年代前半のエレクトリック・マイルスのコンセプトをベースに、ポリリズム中心のリズム&ビート、ファンク・ビートを織り交ぜながら、現代音楽からフリー・ジャズの要素を取り入れたエレクトリックなジャズって、米国ジャズや欧州ジャズには見当たらんよなあ。もしかしたら、日本が誇れるエレクトリック・ジャズなのかもしれない。

 
 

震災から4年5ヶ月。決して忘れない。まだ4年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

菊地成孔さんはお名前しか知らず、以前「東大の○○」?という本を図書館でかりて、途中でギブアップでした。笑

エレクトリックマイルスの中で私の愛聴盤は「ビッグファン」です。
いわゆる「残り物未発表集」ですが、不思議と2枚組全体にコンセプト?が感じられ、なによりも録音の良さ、わかりやすさという意味では聞きやすいと思っています。

日本録音の「アガルタ」「パンゲア」は、音がダンゴ状に塊にきこえますので、そこが好みの分かれ目?なのかも?(~o~)

マスターご紹介の↑のCD、興味がありますので是非聴いてみたいです。^^

どうも〜、「おっちゃん」さん。松和のマスターです。
 
このバーチャル音楽喫茶『松和』が、実際に存在するジャズ喫茶だったら、この『Pan-american Beef Stake Art Federations / Sino(全米ビーフステーキ・アート連盟)』もリアルで聴いてもらえるのですが・・・。

申し訳ありません m(_ _)m。
 

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