ピアノ・トリオの代表的名盤・46
今日は昼過ぎににわか雨が降って以降、夕方には涼しい風が吹いてエアコン要らず。猛暑の日にはエアコンの入った部屋であれ、さすがにジャズは聴けない。ここまでなんとか涼しくなるとジャズも聴き易くなる。
ジャズも聴き易くなると、やはり好きなジャズ・ピアノのアルバムに触手が伸びる。最近、このピアニストのアルバムをちゃんと聴き直さねば、と思い立って、アルバムを物色してはあれこれ聴き直している。
そのピアニストとは「テテ・モントリュー(Tete Montoliu)」。1933年生まれ、スペインのカタロニア出身の盲目のピアニストである。惜しくも1997年に鬼籍に入っている。耽美的なフレーズだが、情感豊かな瑞々しい音の響きと端正なタッチが個性。スペイン出身だからといって、スパニッシュなマイナー調のフレーズが出てきそうなんだが、テテの場合は無縁。
そのテテのピアノを感じるに絶好のピアノ・トリオ盤がこれ。Tete Montoliu『Tete a Tete』(写真左)。1976年2月の録音。ちなみにパーソネルは、Albert "Tootie" Heath (ds), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Tete Montoliu (p)。スティープルチェイスからのリリース。
音的には欧州ピアノ・トリオの音である。ファンクネスはほとんど感じない。ピアノ・トリオの演奏はバランスが取れ、破綻は無い。「上手すぎて面白く無い」という珍妙な評論があったが、とにかく欧州ジャズのピアニストは皆一様に「上手い」。クラシック・ピアノの流れがあるのだろう。欧州ジャズにおいて、下手なピアニストに出会ったことは無い。
何と言っても、このアルバムのハイライトはラストの5曲目「カタラン組曲(Catalan Suite)」。テテの故郷カタロニアへの思いが溢れんばかりの組曲。この組曲は、彼の故郷カタロニア地方の伝承曲を素材としている。スペインらしいメランコリックなメロディーが美しい。組曲の構成、アレンジ共優秀で、欧州のピアノ・トリオ表現の一つの頂点を極めた演奏と言っても過言では無い。
ファンクネスによる粘りが無い分、圧倒的なドライブ感が話題になることが少ないテテのピアノではあるが、テテのピアノのドライブ感は半端では無い。そう言えば、テテ・モントリューって日本ではあまり話題になることが無い、評論家受けの悪いジャズ・ピアニストだったなあ。ジャズ雑誌の評論って意外と硬直していて偏りがあったんやなあ、と振り返って思う。
欧州のピアノ・トリオ盤として優秀な一枚です。耽美的なフレーズだが、情感豊かな瑞々しい音の響きと端正なタッチが個性。テクニック優秀で圧倒的なドライブ感。この『Tete a Tete』、彼の個性がバッチリ判る好盤です。
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テテモントリューはいわゆる「両手OK」?のヴァーサタイルピアニストとしては過小評価気味でしょうか?(^^ゞ
日本ではどちらかというとシングルトーンでの「訥弁スタイル」?風なジャズピアノが人気のように感じますが、両手をフルに稼動できるピアニストの豪快なスタイルも好きですぅ。笑
私は例年の夏休みには「苦手克服強化期間」として「持ってはいるがほとんど聴かない巨人」たちのCDを修行僧のごとき気持ちでクーラーガンガンの中まとめ聴きしてきました。^_^;
パーカーの全集や、キースの純クラシック盤や渋めのオペラなどなどです。
結果自分にとってはパーカーの偉大さはやはり理解ができず、キースのめざす純クラシックの録音の必然性は謎が深まるばかりです。(~o~)
できることならせめて30年ばかり早く生まれていれば、「百万ドルのマンネリズム」といわれたスイングジャズ黄金期の音も生できくことができたでしょうし、NYで生のパーカーを聴けたかもなあ?・・なんて思うこの頃です。笑
投稿: おっちゃん | 2015年8月17日 (月曜日) 08時28分