夏はボサノバ・ジャズ・その21
ジャズ・ボーカルは唯一苦手のジャンルである。どうも、普通のジャズ・ボーカル者の方々とは違った感じ方、違った聴き方をするらしく、ジャズ本で紹介されるジャズ・ボーカル盤に感じ入ることは何故か少ない。
ちょっと変わった聴き方を進めてきて、女性ボーカル盤の方が圧倒的に良く聴く。それでも、ジャズ・ボーカル者の方々が良いとする、レジェンドと呼ばれるべき女性ボーカリストについては余り聴かない。男性ボーカルは、何故か、フランク・シナトラとメル・トーメ、この2人に限定される。
さて「夏はボサノバ・ジャズ」の特集。今日はフランク・シナトラのボサノバ・ジャズ盤。そのアルバムとは『Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim』(写真左)。1967年3月のリリース。ボサノバの祖、アントニオ/カルロス・ジョビンとの共演である。加えて、ストリングス・アレンジはクラウス・オガーマン。バック・バンドはジョビンのバンドである。
シナトラがボサノバを唄う。シナトラ者の僕にとっては興味津々のアルバムである。ボサノバの特徴である、アンニュイでちょっと気怠い感じでフワフワと唄うのかと思いきや、それは無いでしょうね。シナトラがフワフワと気怠く唄うなんて思えません(笑)。シナトラはその卓越した歌唱力によって「ザ・ヴォイス」と呼ばれる。そんなシナトラ、ボサノバをどう唄いこなすのか。
このシナトラのボサノバ盤を聴いて納得。シナトラはボサノバの名曲をボサノバの歌唱方法に迎合すること無く、堂々とシナトラらしく朗々と歌い続けてゆきます。とにかく朗々とシナトラらしく唄い上げていく。素晴らしい歌唱です。これぞ「ザ・ヴォイス」。しかし、ボサノヴァの雰囲気にあわせ、ビブラートをあまり使わずソフトに歌い上げるところはさすがです。
冒頭の「The Girl From Ipanema」、邦題「イパネマの娘」を聴けば、その雰囲気が良く判ります。アンニュイで気怠いボーカルで有名な、このボサノバ曲をシナトラは堂々と朗々と唄い上げていきます。正統な純ジャズにアレンジされた「イパネマの娘」。すっくと背筋が伸びて、堂々と歩く「イパネマの娘」。
余談になりますが、この『Francis Albert Sinatra & Antonio Carlos Jobim』というシナトラとジョビンの共演盤って、ビルボードアルバムチャートの最高位19位、28週もランクインし続けるという大ベストセラーなアルバムとなったそうです。う〜んなるほど、判る様な気がするなあ。
シナトラはプレスリーやビートルズなどと並んで、20世紀の米国を代表するジャズ・ボーカリストであり、ジョビンはボサノバという新しいサウンドを作ったイノベーター。シナトラは、後にアメリカの記念切手となり、現在ブラジルのリオデジャネイロの空港は、アントニオ・カルロス・ジョビン国際空港という名前が付けられている。
それほどまでに偉大なシナトラとジョビン。その二人が共演して創ったボサノバ・ジャズの好盤。このアルバム、何度聴き返しても飽きることは無い。エバーグリーンなボサノバ・ジャズ盤である。何度聴いても惚れ惚れする。
震災から4年5ヶ月。決して忘れない。まだ4年5ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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