米国ルーツ・ロックの基本盤
ジャズの合間の耳休め。今日は70年代ロックに走る。70年代ロックはいろいろと幅広いジャンルに及ぶところが特徴ではあるんだが、僕は特に「米国ルーツ・ロック」がお気に入りである。
一般的にはルーツ・ミュージックと呼ばれることが多くなった、いわゆるロックを形成する上で基礎となった米国のルーツ音楽(アメリカ黒人のブルース、ゴスペル、初期のジャズ、アメリカ白人のフォーク、カントリー)をベースとしたロックを僕は「米国ルーツ・ロック」と呼んでいる。1970年代前半は「スワンプ・ロック」と呼ばれた。
例えば、ロック・バンドの中で僕が敬愛して止まない「ザ・バンド」などはこのジャンルの最高峰のひとつと位置づけている。音的には1970年代前半、米国西海岸で活躍したCCR(Creedence Clearwater Revival)などもこの米国ルーツ・ロックに属する。そして、今日、聴いたレオン・ラッセル(Leon Russell)も、この米国ルーツ・ロックの範疇だ。
その米国ルーツ・ロックとしてのレオン・ラッセルの音世界を体験するには、やはりデビュー盤の『Leon Russell』(写真左)が最適だろう。1970年のリリース。米国ルーツ・ロックの基本コレクションの一枚である。
パーソネルを見渡せば、Mick Jagger、George Harrison、Ringo Starr、Eric Clapton、Steve Winwood、Joe Cocker など、ロック界のレジェンドとなった大御所の名前がズラリとならんでおり、当時の英国ロック・ミュージシャンのスワンプ・ロックへの傾倒度合いが見て取れる。
冒頭の「A Song for You」は米国ルーツ・ロックというよりは、とにかく曲が素晴らしい。名曲中の名曲。レオン・ラッセルのコンポーザーとしての力量の高さを指し示すものであり、音の雰囲気はルーツ・ロックというよりは、上質のロック・バラードという趣が強い。
米国ルーツ・ロックの雰囲気を堪能するには2曲目「Dixie Lullaby」以降が良い。2曲目の「Dixie Lullaby」のタイトルからして、米国ルーツ音楽の雰囲気が色濃く漂う。良い感じですよ〜。これぞ米国ルーツ・ロック、これぞスワンプという演奏がズラリと並んでいます。
レオン・ラッセルのボーカルが堪らないですね。アクの強い節回しと野太い歌声は米国ルーツ・ロックにピッタリです。僕がこのアルバムに出会ったのは1979年。バック・バンドが奏でる米国南部ルーツ・ロックの芳醇な雰囲気にこのダミ声。「やられました」。
リイシューCDでは5曲のボートラが追加されて、全17曲というボリュームになっていますが、LP時代のオリジナルは12曲。アルバムを愛でるというレベルでは、リュイシューCDのボートラ5曲はちょっと冗長に感じます。
特に、ロックのアルバムは曲の選択、曲順について良く考慮されていて、オリジナル盤に勝るものは無し、と思っていますので、ボートラはちょっと蛇足かと。
なお、ラストの「戦争の親玉」はLPのファースト・プレスのみに収録されていたトラックです。アメリカの国歌にボブ・ディランの歌詞を当てたもので、当時、当局から思いっきりクレームが付いた「曰く付き」の曲。
LPのセカンド・プレスからはオミットされていたのですが、CDでのリイシューに当たり、ファースト・プレスの仕様を復活したものです。こういうCDリイシューの対応は好ましいですね。
震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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