« 昼下がりSP・デュオ盤特集・3 | トップページ | 突然、真夏にフリー・ジャズ »

2015年7月23日 (木曜日)

「金太郎飴」的な心地良さです

僕は1970年代後半のフュージョン・ジャズの流行真っ只中をリアルタイムで体験している。ちょうど高校生から大学生の時代。特に大学生の時代は、AORと併せて、フュージョン・ジャズは我々音楽好きとしては必須のアイテムだった。

楽器としては僕は子供の頃からピアノが大好き。オルガンもシンセも大好きで、キーボードは全てお気に入り。フュージョン・ジャズにおいても、まず、しっかりと聴き進めて行ったのは、キーボード奏者がメインのアルバム。

フュージョン専門のお気に入りのキーボード奏者は、ボブ・ジェームス、デイブ・グルーシン、そしてジョー・サンプル。この3人、後には純ジャズにも手を染めるが、1970年代後半のフュージョン・ジャズの大ブームの頃は、フュージョン専門のキーボード奏者としてブイブイ言わせていた(笑)。

さて、その「御三家」の一人、ジョー・サンプルのアルバムを久し振りに聴いた。Joe Sample『The Pecan Tree』(写真左)。2002年のリリース。ホーンを入れずに、従来のジョー・サンプル的なアルバムに戻ったアルバム。確かに、このアルバムには、フュージョン・ジャズ時代に聴き込んだサンプル節が満載です。

独特の間と余裕あるテンポで訥々と思いっきりファンキーに弾き進めるフレーズは、サンプル独特の個性。キーボードのソロをちょっと聴き進めただけで、ジョー・サンプルと判る個性的な弾き回し。そして、バックのファンクネス溢れる、ジョー・サンプルがプロデュースの独特な響きを持つ、クールなリズム&ビート。
 

The_pecan_tree

 
そして、アルバム収録11曲中、4曲がボーカル入り。このボーカル入りの楽曲を織り交ぜるのは、後期クルセイダーズ的なアルバムの作り方。懐かしいですね。でも、いずれもこのボーカル入りの楽曲の出来が素晴らしい。ボーカリストの個性にピッタリ合った楽曲を用意し、アレンジを施す。センスの良いジョー・サンプルの仕業ですね。

3曲目「No One But Myself To Blame」でのLizz Wrightのストレートな歌声、同じくLizz Wrightが高らかに歌い上げていくのが感動的な5曲目の「Fool's Gold」。Haward Hewettも負けてはいない。ファンクネス溢れるブラコン風の7曲目の「In A Heartbeat」、浪々と熱唱する9曲目「With These Hands」、いずれも良い出来です。

ジョー・サンプルのキーボードって不思議なんですが、基本的にはどのアルバムも同じ弾き方、フレーズなんですよね。つまり「金太郎飴」的なアルバムばかり。でも飽きない。飽きないどころか、アルバム毎になぜか判らないが、ジョー・サンプルの「金太郎飴」的個性にグッと気持ちを掴まれるのだ。

僕は、ジョー・サンプルのキーボードのフレーズが持つ、趣味の良いクールな溢れんばかりのファンクネスが「鉄板」ではないかと思っている。このジョー・サンプル独特のファンクネスがあれば、とにかく、どのアルバムでも「金太郎飴」的な心地良さを感じ取ることが出来る。

この『The Pecan Tree』というアルバム、「金太郎飴」的な心地良さ満載です。独特の間と余裕あるテンポで訥々と思いっきりファンキーに弾き進めるフレーズ、そして、バックのファンクネス溢れるクールなリズム&ビート。どこから聴いても「ジョー・サンプル」。でも、こんなジョー・サンプル的なアルバムが実に心地良い。
 
 
 
★震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 昼下がりSP・デュオ盤特集・3 | トップページ | 突然、真夏にフリー・ジャズ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「金太郎飴」的な心地良さです:

« 昼下がりSP・デュオ盤特集・3 | トップページ | 突然、真夏にフリー・ジャズ »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー