時々聴きたくなるビ・バップ
ジャズのスタイルは多岐に渡る。それぞれの時代で、様々なスタイルが登場した訳だが、純ジャズの世界で良く聴くスタイルは「ハードバップ」や「新主流派」そして、近年の「ネオ・ハードバップ」が中心になる。
それでも、そんな「ハードバップ」や「新主流派」そして、近年の「ネオ・ハードバップ」の合間に、突如、ビ・バップが聴きたくなる。ビ・バップとは、現代のモダンジャズの起源となったジャズのスタイル。1940年代から1950年代初頭辺りで流行した。
ビ・バップはアレンジという概念が希薄なので、演奏の展開はいたってシンプル。最初に決まったテーマ部分を演奏した後、コード進行に沿った形でありながらも、自由な即興演奏(アドリブ)を順番に行う形式が主となる(Wikipediaより)。
コード進行に沿ったアドリブ展開の為、原曲の旋律は全くデフォルメされ、原曲は何だったか、良く判らなくなるという難点はあるが、ジャズメンのテクニックとアドリブ・イメージによってその良し悪しが左右されるが故に、ジャズメンの個性とテクニックを聴いて楽しむという鑑賞スタイルが定着した。そういう意味で、鑑賞音楽としてはジャズはこのビ・バップが発祥と言って良いだろう。
突如、ビ・バップが聴きたくなった時に、CDプレイヤーのトレイによく載るのが、Dizzy Gillespie『Groovin' High』(写真左)。1945年、1947年の録音。ビ・バップの祖の一人、ジャズ界のレジェンドであるトランペッター、ディジー・ガレスピーの名作である。
聴けば良く判るのだが、このアルバムの音が「ビ・バップ」なのだ。ビ・バップってどんな演奏なんですか、と問われれば、僕はこのアルバムをかける。録音の雰囲気、演奏の内容、どれをとっても「ビ・バップ」の雰囲気がプンプンする。満載である。
演奏の編成は8曲目までがクィンテットかセクステット、9曲目からはビッグバンドの演奏。どちらにしても、徹頭徹尾、どこから聴いても「ビ・バップ」である。特に、やはり、ビ・バップの祖、ディジー・ガレスピーのトランペットが傑出している。テクニック抜群、上手いのなんのって。ハイノートなど素晴らしく伸びる。速吹きのテクニックも尋常ではない。
録音状態はあまり良くありませんが、このアルバムで聴かれる、ビ・バップの粗暴なまでに強烈な演奏は一聴に値します。というか、ジャズ者を志し、ジャズの演奏スタイルの変遷を理解する上で、ビ・バップは絶対に外せない。そんなビ・バップの典型的な演奏がこのアルバムの中にギッシリと記録されています。好盤です。
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