シンプルで柔らかなプログレ
ジャズの合間の耳休め。ジャズはインストが中心ということから、やはり耳休めは70年代ロックの中から、プログレッシブ・ロックのアルバムを好んで聴く。もともと高校時代はプログレ小僧だったこともあって、プログレのアルバムは結構コレクションしてきた。もはやマニアと言っても良い位だ。
ジャズを聴き始めて、歳をとって、ジャズの合間の耳休めの時に選ぶプログレ盤についてもその嗜好は変わった。高校時代、プログレ小僧の時代は、有名なメジャー・バンド、メリハリの効いた、プログレの代表的バンド、キング・クリムゾンやイエス、ピンク・フロイド、EL&Pなどを聴き漁っていた訳だが、大人になって、歳をとってその嗜好は大きく変わった。
確かに、メリハリの効いた、プログレの代表的バンドも、懐かしくて聴き応えがあって、確かに良い内容の盤が多い。しかし、その複雑な音世界と先鋭的かつ攻撃的な演奏内容ゆえ、ジャズの合間の耳休めには、ちょっと「もたれる」感じが、ちと辛い時がある。そういう時、若かりし頃は、刺激が少ないなあ、なんて少し敬遠してきた「シンプルで柔らかなプログレ」盤が良い感じなのだ。
最近では、Camel(キャメル)のアルバムを聴いて感じ入っていた。キャメルとは、1970年前半にデビューしたイギリスのプログレッシブ・ロック・バンド。英国プログレの範疇でありながら、欧州大陸系の音作りが特徴で、演奏内容も、プログレのキャッチフレーズである、観念的で複雑で大作主義でクロスオーバー、そして高いテンションという中で、観念的でも無く、大作主義でも無く、シンプルで優しい音作りが特徴。
加えて、音が柔らかで判り易い。基本的には、ポジティブなポップ・ロックなんだが、ところどころでクラシック音楽の要素、例えばフーガとかバロックとかの音の雰囲気が見え隠れし、エレギとキーボードがしっかりとメインで判り易い旋律を奏で続ける。特に、シンセサイザーの使い方が、柔らかで優しい使い方が個性的である。
最近聴いた盤が、1976年リリースの『月夜のファンタジア(Moonmadness)』(写真左)と1978年の『ブレスレス〜百億の夜と千億の夢(Breathless)』(写真右)。どちらも、プログレッシブ・ロックのアルバムというには、シンプルで柔らかで優しい内容。加えて、音の響きが、古き良きアナログな音世界満載って感じで、これがまた耳に優しくて良い。
『月夜のファンタジア(Moonmadness)』はキーボードの使い方が上手い。キーボードが大活躍。ハモンド・オルガンとシンセサイザーの使い方が抜群で、その音は柔らかく優しい。そんなキーボードにフワッとエレギが寄り添い、キャメル独特の音世界を現出している。シンセに絡むゆるやかなフルートの音色がとても優しく、「月夜のファンタジア」という邦題に妙に納得したりする。
『ブレスレス〜百億の夜と千億の夢(Brethless)』は一聴すると、「これボストンやん」って感じてしまうんだが、聴き進めると、いやいや違う違う、となる。ボストンと比べると、やはりシンプルで柔らかで優しい。結構、エッジの立ったエレギ中心の音の展開ではあるが、そこかしこに「欧州大陸系の音作り」が見え隠れする。これを耳にすると「これはボストンでは無い」となる。
ポップなロックという音作りではあるが、柔らかで優しい、牧歌的で叙情的な音の展開を聴くと、いや〜キャメルってええなあ、と感心する。高校時代から大学時代、若かりし頃はどうにも「かったるくて、爺くさい」感じで敬遠していたのに、である(笑)。とにかく、キーボードとエレギの絡み、掛け合いは、その響きが素晴らしく、結構「癖になる」。
最近のジャズの合間の耳休めのロック・アルバムは、シンプルで柔らかなプログレ・バンド、キャメルを結構好んで聴いている。キャメルのどのアルバムを聴いても、その内容は充実しており、バラツキが無いのも素晴らしい。どうも、しばらく「病みつき」になりそうな気配である。
震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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