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2015年7月16日 (木曜日)

ジャズ喫茶で流したい・65

ジャズ者たるもの、プロのジャズメンに対しては、いかなる状態でも「リスペクト」の念は、必要最低限、持つべきである。相手はジャズ演奏のプロである。こちらはジャズ演奏については素人である。素人がプロを揶揄してはならない。

それでも、口の悪いジャズ者の方々というのはいるもので、あのジャズメンはもう古いとか、あいつはマンネリだとか、彼は上手過ぎて駄目とか、いろいろと好き勝手に言い放つジャズ者方々はいる。

でもねえ、気に入らなかったら、黙ってそのジャズメンのアルバムを聴かなければいい。素人がプロのジャズメンの悪い評価を口に出して、他人に対して言い放つことはプロに対して失礼である。加えて、本人が嫌いでも、そのジャズメンを愛しているジャズ者の方だっているのだ。最低限のマナーは維持して欲しいなあ。

そう思ったのも、このアルバムを聴いたからである。『McCoy Tyner With Stanley Clarke & Al Foster』(写真)。1999年4月の録音。パーソネルはタイトル通り。コルトレーン仕込みのシーツ・オブ・サウンドなピアノが魅力のマッコイ・タイナー、エレベ、アコベの両刀使いでブンブン唸るベースが格好良いスタンリー・クラーク。長年マイルスの相棒で力感のある切れ味の良いドラムが素敵なアル・フォスター。

しかし、この3人とも、このアルバムを録音した時点で、既に「ジャズのレジェンド」な3人である。恐らく、ジャズ者ベテランの方々は、予定調和のハードバップ&モードなジャズが事務的に展開されて「あー良かった」と思うけど、以降、2度と聴く事のない、ビジネスライクに割り切られたピアノ・トリオ盤ではないか、と危惧する。

が、そういう定型的な予想が思いっきり外れるのがジャズの面白いところ。マッコイは新鮮なフレーズを、シーツ・オブ・サウンドを抑え気味にクールに弾きまくる。これが良い。アドリブの展開や感覚もジャズの先端を行く新しい響きを宿し、とても耳当たりの良いフレーズが暖かい。これがマッコイなのか、と思わず、パーソネルを見直したりする。
 

Mccoy_tyner_with_stanley_clarkeal_f

 
そして、切れ味の良い、魅惑的なハイハットの響きが最高なアルのドラミングの見事なこと。ポリリズムよろしく叩きまくるが、リズム&ビートがズレることはない。切れ味良い、ストレートなビートが実にクールだ。アルのドラミングは常に新鮮でクール。アグレッシブでポジティブなドラミングは彼の最大の個性。

実はこのアルバムの密かな楽しみはスタンリー・クラークのベース。この人、サイドメンに回ると真価を発揮する不思議なベーシスト。リーダーアルバムでの彼のベースは肩に力が入りすぎてイマイチなんだが、サイドメンに回ると凄いベーシストに早変わり。良い意味で超絶技巧で味わいがある。アコべとエレベの両刀使いだが、どちらも良い味出している。

アフリカ、カリブ、ブラジルとワールド・ミュージック的な愛しき楽曲がずらりと並び、陽気で明るいところがこのアルバムの面白いところ。あのコルトレーン仕込みのシーツ・オブ・サウンドなピアノで、アフリカ、カリブ、ブラジルを弾きまくるのだから、堪らない。今まで聴いたことの無い、新しいマッコイがここにいる。ドラムのアルもベースのクラークも楽しそうにマッコイに追従する。

このアルバムは、テラークからのリリースで、このレーベルは音が良いので有名。このアルバムも例に漏れず、マッコイのピアノ、アルのドラム、クラークのベースを活き活きとダイナミックに聴かせてくれる。

良いアルバム、良いピアノ・トリオです。これは聴き応え満点。タイトルを見た時は「大丈夫か、このアルバム」とちょっと引いたのですが、思い切って聴いて良かったです。ジャズには変な先入観は不要です。ジャケットのアートなデザインもお気に入りです。久し振りに「良い意味で意外性のある」ピアノ・トリオ盤に出会いました。

 
 

震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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コメント

>素人がプロを揶揄してはならない。
そうですね。^^

逆の意味でかつてのSJ誌のディスクレビューの中で、私が一番不思議に思っていたのは「何故プロの現役ミュージシャンにレコード評を書かせるのだろうか?」ということでした。

彼らの評のほとんどは同業に対する尊敬の念?が強すぎるあまりなのか、ほとんどの場合「ホメ殺し(ネガティブなことは決して書かない)」に近かったような。。^_^;

これはこれで、その「裏を読む」という楽しみかたもあったように思いましたが、なけなしの金を払ってCDを買うわが身にとってはほとんど参考にはならなかったような。。

「CD評」で「ライナーノーツ」のようなことばかり書かれてもなあ・・と思っておりました。笑

そうですね。僕もSJのプロの現役ミュージシャンにレコード評については、何か変やなあ、と思って読んでました。
 
仰る通り、プロのミュージシャンが、プロの同業者を揶揄することはまずあり得ない(ごく少数、異端児はいましたが)。判っていてSJは書かせていたのかなあ、と今でも不思議に思います。
 
アルバム評というのは、ここが悪いとか、ここが気に入らない、と書かれるよりは、ここが良い、ここが素晴らしい、と自らのお気に入りのアルバムについての正直な評を書いて貰えれば、結構参考になるのになあ、と長年思ってきました。
 
これがなかなか無かったですね。まあジャズ評論家の方々はいろいろと利権や既得権益があって、正直な評、好きなアルバムについて語ることがなかなか難しかったのでしょうね。
 

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