« 米国ルーツ・ロックの基本盤 | トップページ | サンボーンを舐めてはならない »

2015年7月26日 (日曜日)

マイルスの正式ブートレグ第4弾『At Newport』

まだまだあるんやなあ、というのが最初の感想。あるんやったら、早くどんどん出してよ、とも思う。聴かない間に死んでしまっては元も子もない(笑)。

Miles Davis『Miles Davis At Newport 1955-1975: The Bootleg Series Vol. 4』(写真)。マイルスのブートレグ・シリーズの第4弾。4枚組のボックスセット。

以下の様に1955年から1975年の20年間の中で、8種類のニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ・パフォーマンスを収録しています。細かい説明は割愛しますが、未発表のライブ音源の多く収録されています。

CD 1: (July 17, 1955: Newport Jazz Festival, Newport, RI) 
   (July   3, 1958: Newport Jazz Festival, Newport, RI)
CD 2: (July   4, 1966: Newport Jazz Festival, Newport, RI) 
    (July   2, 1967: Newport Jazz Festival, Newport, RI)
CD 3: (July   5, 1969: Newport Jazz Festival, Newport, RI)   
         (Nov   1, 1973: Newport Jazz Festival In Europe, Berlin) 
         (July   1, 1975: Newport Jazz Festival ? NY, Avery Fisher Hall) 
CD 4: (Oct 22, 1971 : Newport Jazz Festival In Europe, Neue Stadthalle, Dietikon, Switzerland) 

ブートレグに手を染めているマイルス者の方々には不満だらけのボックスセットかと思いますが、我々の様に、ブートに手を出さない、正式盤のみのコレクターにとっては、これはこれで、このボックスセットのリリースは嬉しいものがあります。
 

Miles_at_newport_1955_1975

 
ちなみに既発売は、CD1の6曲目から11曲目は、1958年、ジョン・コルトレーン、キャノンボール・アダレイ、ビル・エバンス、ポール・チェンバース、ジミー・コブ在籍時のもので『マイルス・アット・ニューポート1958』として既発売。

CD3の1曲目から3曲目は1969年、エレクトリック時代初期のチック・コリア、デイブ・ホランド、ジャック・デジョネットとのカルテットで『ビュチェズ・ブリュー・ライブ』として既発売。

この2つの既発売音源の存在が物議を醸し出しているが、今回は、マイルスのニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ音源のギャザリングがこのボックスセットでの編集方針なので、このボックスセットの資料性を重んじるのであれば、既発売音源が混じっても構わないと思うのだが。

逆に、マイルスのニューポート・ジャズ・フェスティバルのライブ音源として、発売に耐える音質、内容を前提として、まだこれだけのライブ音源が倉庫に眠っていたということになる。それが正式盤としてリリースされたことは誠に目出度い。

音質は悪くは無い。主観的には「中の上」。良い音だなあ、と感心するほどでは無いが、鑑賞には十分耐える音質である。特に、エレクトリック・マイルスのライブ音源は実に興味深く、単純に楽しめる。アコースティック・マイルスの演奏は内容的にはまずまずのレベルで資料的価値の方が優先する。

ただ、このボックスセットについては、マイルス者にとっては必須のアイテムだと思うが、通常のジャズ者の方々には、特に必要性の高いものでは無いだろう。ボリューム的にもCD4枚。聴き通すのにも時間と根気が必要になるため、ブートには手を出さない、通常のマイルス盤蒐集家にとっては福音的なボックスセットではある。
 
 
 
★震災から4年4ヶ月。決して忘れない。まだ4年4ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 米国ルーツ・ロックの基本盤 | トップページ | サンボーンを舐めてはならない »

コメント

マスターに同じく(^^ゞ私も基本的にはブートレグまでは追いかけません。
例外はクリームなどのようにドキュメンタリーとしてのバリエーション?(毎回どれだけすごいのか?の解明^_^;)のためくらいです。

たとえば近年のCD化でチャーリーパーカーの「別テイクの羅列盤」などをきくと、凡人の私などは(・・どれだけも違わんでわなひか;;)と、あまりに神格化された「パーカー伝説」に単に疑念がわくだけでした。^_^;^_^;

クリームの海賊版でも同様で(単にルーティーン化してるだけ;;)としか理解ができませんでした。。

そもそも毎回そんなにすごいアドリブが可能なら、プレイヤーとしてだけでなく「作曲家」で食えるではないか?と、思ったりもして。。笑

今現在個人的に追い求めている動画・海賊版といいますと60年代のはじめにコルトレーングループに「トラ」として参加したウエスモンゴメリーとの競演ですが、トレーンはこの頃からしきりと「インプレッションズ」を取り上げるようにもなり、ウエスも同様ですが、これは一体どちらがオリジナルなんだろ?

マイルスの海賊版で興味深かったのは1955年にバードランドライブのラジオ中継盤が当時のマイルスグループの、とりわけ当時「若き怒れるテナーマン」として注目をあびていたコルトレーンの長尺ソロでした。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マイルスの正式ブートレグ第4弾『At Newport』:

« 米国ルーツ・ロックの基本盤 | トップページ | サンボーンを舐めてはならない »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー