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2015年7月 8日 (水曜日)

1980年代のナベサダ・ジャズ

1980年代の渡辺貞夫を聴き直している。もともとフュージョン・ジャズの「僕のアイドル」。渡辺貞夫、僕は敬愛と親しみの念をこめて「ナベサダさん」と勝手に呼ばせていただいている。1970年代後半三部作である『My Dear Life』『California Shower』『Morning Island』を経て、1980年代に突入。

音的にはこの1970年代後半3部作の音を継承した『Orange Express』、そしてライブ盤『How's Everything』をリリース。ここで一旦、1970年代後半3部作の音を継承したシリーズは終了。ナベサダさんは、エレクトラ・レーベル移籍。フュージョン・ジャズから一歩進めて、スムース・ジャズへと進化し始める。

そのエレクトラ・レーベル移籍第一弾のアルバムが、渡辺貞夫『Fill Up The Night』(写真)。1983年3月の録音。ちなみにパーソネルは、渡辺貞夫 (as), Ralph MacDonald (per), Richard Tee (key), Marcus Miller (el-b), Steve Gadd (ds), Eric Gale (g), Paul Griffin (key), Jorge Dalto (p), Grady Tate (vo)。

パーソネルを見渡せば、フュージョン・ジャズのブームを泳ぎ切った、名うてのメンバー、当時最先端のリズム・セクションを含めた、フュージョン・ジャズを総括した錚々たるメンバーと共演したアルバムである。このアルバムを初めて聴いた時、日本人もここまでハイレベルなフュージョン盤を創造することが出来るんだ、と感慨に耽ったことを覚えている。 
 

Fill_up_the_night

 
冒頭の「Say When」から続く「Rosebud」とフュージョン・ジャズを更に洗練した、後のスムース・ジャズの雰囲気がしっかりと聴いて取れるところが憎い。抜群のセンス。そして続く「Fill Up The Night With Music」では、グラディ・テイトの渋いボーカルも聴ける。これが実にムーディーで、かつ意外と硬派で聴き応えがある。

ティー、ゲイル、ガッド、そしてマーカス・ミラーという驚愕のアンサンブルによる大人のコンテンポラリー・ジャズの音世界。意外とワイルドで硬派なところがこのアルバムをヘビーローテーションさせている所以で、メインストリーム・ジャズ好みの耳にも、意外と訴求するところが、ナベサダさんのスムース・ジャズの面白いところ。

リズム・セクションの良い意味での「重量感」が、このアルバムを硬派なスムース・ジャズとして成立させている。スムース・ジャズ初期の好盤である。当時、米ラジオ&レコード誌にてジャズ・チャート1位を記録した、というのも頷ける、派手さも甘さも控えめな、クールで硬派なスムース・ジャズ。聴き応え十分です。

 
 

震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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