メインストリームなサンボーン
デイヴィッド・サンボーンの新作『Time and The River』(2015年5月26日のブログ参照・左をクリック)を聴いていて、こういう人って、純ジャズをやらせても超一級品なんだよな〜、なんて思った。純ジャズのデイヴィッド・サンボーンか、と想いを巡らせたら、あれ?。
純ジャズのデイヴィッド・サンボーンのアルバムが思い浮かばない。あれれ、サンボーンの純ジャズ盤って無いのか、と考えてみたら、やっぱり無い。でも、どこかで聴いた気がするのだ。それも最近。あれ、どこで聴いたんだろう。
と調べてみたら、ありました、ありました。そのアルバムとはこれだ。Bobby Hutcherson『Enjoy The View』(写真左)。 昨年のリリース。これが「サンボーンの純ジャズ盤」なのだ。リーダーはBobby Hutchersonであるが、録音を聴けば、それぞれのメンバーが台頭に全面に出てくる。メンバー並列のオールスター盤である。
アルバムの演奏内容は徹頭徹尾、純ジャズである。そこはかとなくジャズの新しい要素を織り交ぜてつつ、伝統的なジャズな要素もしっかりとベースにあって、内容充実のメインストリーム・ジャズである。ちなみにパーソネルは、Bobby Hutcherson (vib), David Sanborn (as), Joey DeFrancesco (org), Billy Hart (ds)。
このカルテットの面々、誰もが素晴らしい演奏を繰り広げている。ハッチャーソンのヴァイブも良い。デフランセスコのオルガンも思いっきりファンキーでジャジーで思わず唸るくらいに素晴らしい出来。メリハリ効いて切れ味抜群のハートのドラミング。それぞれの最近のベスト・パフォーマンスではないか、と僕は思う。
そして、何と言っても、このアルバムでは、デイヴィッド・サンボーンのアルトの出来が素晴らしい。1曲目の「Delia」のサンボーンのブロウは「純ジャズ仕様」。とてもガッツのある、硬派な、魂の入ったブロウである。一聴しただけではサンボーンとは気が付かない。メロディアスな展開に差し掛かった時の「艶やかなアルトの響き」を聴いて、もしやこれってサンボーンか、と思い当たる。
メロディアスな展開有り、アブストラクトな香り漂う展開有り、モーダルで硬派な純ジャズな展開あり、これまでのジャズ・サックスのトレンドの全てを包含した、メインストリームなアルト・サックスが実に良い雰囲気を醸し出している。
僕はサンボーンは純ジャズをやらせたら超一級品なんだろうと確信はしていたが、これほどまでに純ジャズなアルト・サックスが素晴らしいとは思わなかった。これまでに無い、艶やかで硬派でメロディアスな純ジャズ・アルト。もっともっと、サンボーンは純ジャズに手を染めても良い。そう確信させる位の説得力ある盤『Enjoy The View』である。
良いアルバムです。最近の質の高いメインストリーム・ジャズ盤としてお勧めです。聴けば聴くほど味わい深い、なかなかの掘り出し物盤です。オルガン入りのカルテットとしても、実に出来の良い盤です。
震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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