ごった煮のキース・ジャレット
最初に断っておくが、このアルバムは決して、ジャズ者初心者向けでは無い。ジャズの様々なスタイルを聴きこなせる、ジャズ者中級者〜上級者向けである。それだけ、このアルバムの中には、ジャズのスタイルの様々な要素がごった煮に入っている。
時代のなせる技であろう。ピアノの響きが豊かで流麗な正統派なピアノ・トリオな演奏があれば、アフリカン・ネイティブなゴスペル調のフォーキーな演奏あり、アブストラクトな演奏あり、現代音楽風の完全フリーな演奏あり、とにかくごった煮。
そのアルバムとは、Keith Jarrett『Hambrug '72』(写真左)。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds)。ECM主催のヨーロッパ・ツアーのさなか、1972年6月14日、ハンブルクでライブ録音したもの。
その録音から42年を経た、昨年2014年7月に、Manfred Eicherと名手Jan Erik Kongshaugによりリミックスされ、世に出された盤である。そういう意味で、意外と音が良い。特に、ドラムとベースの音が生々しい。
この頃のキースは、アメリカン・カルテットとヨーロピアン・カルテットの両方を主宰していて、その音世界は確かに「ごった煮」。その「ごった煮」感をこのハンブルグのライブ音源は如実に再現する。とにかく、普通に聴いていたら、何が何やら判らないまま、アルバムの演奏が終わってしまう感じ。
このライブ盤では、キースはサックスも吹いている。しかし、そのサックスはただ単純にフリーキーな咆哮を続けるのみ。オーソドックスなプレイが出来ないサックスはどうにもいただけない。声を出して叫ぶとまずいので、サックスを借りて叫びに代えているようなフリーキーな咆哮。本業では無いキースのサックスが、本業のサックス奏者に失礼な叫びを繰り返す。
ごった煮で、悪く言えば、音楽性が定着しない、1972年のキース・ジャレット。逆に、バックでサポートする、ヘイデンのベースとモチアンのドラムは、申し分の無いパフォーマンスを供給する。生々しい躍動感溢れるリズム・セクションは最強である。
このアルバムはジャズ者初心者向けでは全く無い。キース者のコレクターズ・アイテムと言い切っても良い内容。でも、キース者にとっては実に興味深い内容である。
アメリカン・カルテットとヨーロピアン・カルテットの両方を主宰していて、その音世界は確かに「ごった煮」。そんな時代の、その「ごった煮」の存在を証明する、生々しいキース・ジャレットのライブ盤である。
震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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昔キースの武道館ソロライブに仕事が押して疲れきってやっとの思いで駆けつけた私は途中からあまりの心地よさと連日の仕事の疲れからか、大口をあけて寝てしまい、隣の客から注意されてしまいました。笑
コンサートで寝てしまうことは結構多くて^_^;サントリーホールのクラシックコンサートでは気持ちよくて途中から寝てしまうという常連でした。^_^;^_^;
ジャズ喫茶では「ケルン」以前では「マイバックペペイジ」が人気盤でしたよね。曲が流れると必ず客がジャケットを手にとってながめていました。
私も影響されてオリジナルのディラン盤、やバーズの「マイバックペイジ」をきいて、あらためて「ジャズメンの偉大さ」?を認識したものでした。笑
キースの純クラシックは「クラシック入門用」としては絶品ではないか?と思うのですが、特にヘンデルやらバッハなどはクラシック嫌いに聞かせると「いいね・・」となることも多かったように思います。
スタンダードトリオでは私はゲーリーピーコックの「骨太の」?ベース目当てで聴くことが多いです。(^^♪
投稿: おっちゃん | 2015年6月13日 (土曜日) 07時29分