ジャズ喫茶で流したい・64
今週はギター週間だった。僕のジャズ・ギターの好みは変わっている。恐らく、普通のジャズ者の方々には全く参考にならないギタリストやアルバムがズラリと並ぶ。でも、良いものは良い。今まで通り、ずっと自分の好みで聴き続けていく。
パット・メセニーが好きなのだが、パットのアルバムの中で一番聴いた盤はどれだろう、と考えて、即、この盤と断定。
そのアルバムとは、Marc Johnson『Sound Of Summer Running』(写真)。1998年のリリース。ちなみにパーソネルは、Marc Johnson (b), Bill Frisell, Pat Metheny (g), Joey Baron (ds,per)。
パットのリーダー作では無い。PMG(Pat Metheny Group)のアルバムでも無い。ベーシスト、マーク・ジョンソンのリーダー作である。しかも、変態・捻りのギタリスト、ビル・フリーゼルとの共演である。パット一人が目立つ、パットの為のアルバムでは無い。
そういう環境が、自意識過剰気味の彼には良かったのかもしれない。このアルバムでのパットのギターは実に良い雰囲気で鳴っている。ビル・フリーゼルは、正真正銘、筋金入りの「変態・捻り」のギターなので、パットは変に捻る訳にはいかない。この盤でのパットは意外とストレートにギターを弾きまくる。
フリーゼルもメセニーも、米国ルーツ・ミュージックの要素を織り込んだ、フォーキーで牧歌的でネーチャーなギターが共通点。ファンクネスとは全く無縁の官能的かつ爽快感抜群のジャズ・ギター。クロスオーバーでも無ければフュージョンでも無い。しかし、底にはしっかりとジャズが流れている。
我がバーチャル音楽喫茶「松和」では、この初夏から夏、そして、夏から秋に入る頃まで、ヘビロテになるお気に入り盤です。この盤には「夏」の様々なシーンや要素がギッシリ詰まっています。眩しい夏の太陽、爽やかな夏の朝、うだるような暑い昼下がり、夏の夕暮れに駆け抜ける風、入道雲、熱帯夜、などなど。
風と太陽を感じる盤。収録されたそれぞれの楽曲の良さが光ります。フリーゼルはその個性全開に「変態・捻り」のギターなのですが、パットは超絶技巧なギターワークを封印して、ストレートに捻り無しのギターなのが面白い。というか、それが良いのだと思います。適度に余裕のある、聴き心地満点の好盤です。
ダイナミックな展開あり、センシティブに弾き進める展開あり、様々な表情、ニュアンスを聴かせるフリーゼルとメセニーのギターがとにかく素晴らしい。当然、そんな二人を支えるジョンソンのベースとバロンのドラムも秀逸。良いアルバムです。
震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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