こんなアルバムあったんや・46
昨日、ご紹介した、1970年代後半から1980年代前半の異種格闘技的実験セッションの成果はまだまだある。そのアルバムとは、細野晴臣『ISLAND MUSIC』(写真)。
CBS/SONY SOUND IMAGE SERIESの一枚。1983年のリリース。参加メンバーは、細野晴臣、山下達郎、坂本龍一、鈴木茂、松任谷正隆、石川鷹彦。昨日ご紹介した『PACIFIC』 の中核メンバーが、細野晴臣、鈴木茂、山下達郎だったから、この3名はしっかり「かぶっている」。
それもそのはず、この『ISLAND MUSIC』は、『PACIFIC』のラス前の「キスカ」とラストの「コズミックサーフィン」をオミットして曲順を並べかえて、新録を3曲追加したアルバムです。つまりこのアルバムを買えば、『PACIFIC』がほぼ丸まる聴けてしまうわけです。う〜ン、詐欺まがいの編集盤ですが、新録3曲があるので、これはこれで「あり」ですかね〜(笑)。
これらの参加メンバーが、何を思って集結したのかは全く判らない。どう考えても、フュージョン・ミュージックに手を染めるメンバーでは無いのだが、この『ISLAND MUSIC』に詰まっている音世界は、明らかに「フュージョン・ミュージック」。ソフト&メロウなフュージョン・インストが渋い。
冒頭の「最後の楽園」の波の音のSEが物語る様に、海のフュージョン・ミュージックが満載。レゲエもふんだんに取り入れられていて、気分はもうカリビアン。シーサイド・ミュージックをベースに、明らかに上質なフュージョン・ミュージックが展開されます。
アルバム全体に渡って、シンセサイザーの使い方が抜群にセンスが良い。その音色、フレーズ、音質、どれをとっても素晴らしくセンスが良い。このセンスの良いテクノ・ミュージックと、ソフト&メロウ、そしてシーサイドなフュージョン・ミュージックの融合が思いっきり個性的です。
米国や欧州では、こんなごった煮で異種格闘技的なセッションは無いでしょうね。日本ならではの感じが実に爽快です。演奏テクニックも申し分無く、聴き応え十分の異種格闘技的実験セッションです。
しかし、1983年の日本で、こんな不思議なフュージョン・ミュージックが創作されていただなんて信じられません。再編集盤とはいえ、よく当時の日本のレコード会社が制作費を出したな〜、って変な感心をしてしまいます。当時は、こんなフュージョン・ミュージックはなかなか受け入れてもらえなかったのでは無いでしょうか。
日本の音楽シーンの底力を感じるアルバムです。『PACIFIC』が1978年のリリース。この盤の音に明らかに追いついていない時代。それから5年経っての、新録3曲加えての再編集盤。これはこれで「あり」でしょう。
実は、1983年でも、この『ISLAND MUSIC』の音に、まだまだ時代は追いついていない感をありありと感じます。それほど、このアルバムに詰まっている音世界は先進的であり、かつハイセンスである。
震災から4年3ヶ月。決して忘れない。まだ4年3ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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