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2015年6月 9日 (火曜日)

こんなアルバムあったんや・44

春から夏へ。陽気が良くなるにつれ、ハードで硬派なジャズが恋しくなる。この傾向って僕だけかなあ。ハードで硬派なジャズ、そして、アブストラクトなジャズとなると「エリック・ドルフィー」が聴きたくなる。

エリック・ドルフィーは大好きなジャズメンの一人。なぜかジャズ者新人駆け出しの頃からのお気に入り。あの好意的に捻れた、突拍子も無いフレーズに溢れたドルフィーのアルトとフルートは、何処から聴いても堪らない魅力に溢れている。少なくとも、僕にとっては・・・。

さて、今日はそのエリック・ドルフィーのリーダー作では無いのだが、ドルフィーの参加した異色作をご紹介したい。そのアルバムとは、Ken McIntyre with Eric Dolphy『Looking Ahead』(写真左)。1960年6月の録音。

ちなみにパーソネルは、Ken McIntyre (as, fl), Eric Dolphy (as, b-cl, fl), Walter Bishop Jr. (p), Sam Jones (b), Art Taylor (ds)。前衛的なフロントの二人に、旧来からのリズム・セクションという不思議な組合せ。これでは「組合せの妙」は望めないのでは、と危惧する。

エリック・ドルフィーについては、その強すぎる個性がゆえに、彼のフォロワーについては現れ出でることは無かった。まあ、いったいどうやってイメージし、どうやって出すんだ、と深く考え込んでしまうような、好意的に捻れた、突拍子も無いフレーズである。この突拍子も無い個性をフォローしろ、っていうほうが無理難題というもんだ。
 

Mcintyre_looking_ahead

 
しかし、このアルバムを聴くと、このアルバムのリーダーであるケン・マッキンタイア(Ken McIntyre)はドルフィーのフォロワーだったのでは無いか、と思ってしまう。それほどまでに、マッキンタイアのアルトとフルートはドルフィーをよくフォローしている。

このアルバムでの、マッキンタイアとドルフィーのユニゾン&ハーモニーを聴いていると、ほとんど兄弟の様な似通いようである。良く聴くと、ドルフィーよりもマッキンタイアの方が単純で明るい捻れ方をしている。フレーズの跳ね方もマッキンタイアの方が常識的ではある。それでも、マッキンタイアのブロウは他のアルト奏者とは一線を画する。

ドルフィーを判り易く単純にして、マイナーに捻れるフレーズをメジャーに捻り直した様なフレーズがこのアルバムのマッキンタイアの特徴である。ドルフィーも、このマッキンタイアの個性を十分に理解して、マッキンタイアの個性を優先している。この辺がドルフィーの素晴らしいところ。アルバム全体を無意識にプロデュースしている。

ドルフィー者にとって、このアルバムは実に興味深い内容です。ドルフィーにはフォロワーがいないと思っていたところに、このマッキンタイアを聴いて、なんや、ここにフォロワーがいたやないか、と思わずビックリしてしまうような、とても異色なアルバムです。

まず、ケン・マッキンタイアという名前が珍しいのですが、ドルフィーの参加するアルバムとして興味本位で聴いて、その内容に「あらビックリ」(笑)。思わず心から「こんなアルバムあったんや」と叫びたくなるような、個性溢れるアルバムです。

 
 

★震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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