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2015年5月13日 (水曜日)

日本ジャズの黎明期の志士たち

守安祥太郎の伝記『そして、風が走りぬけて行った』(植田沙加栄著)を読んだことがある。ジャズに対する思い入れと憧れが、今の時代と桁違いなレベルだったことが良く判る。ジャズという新しい、最先端の音楽に対する探究心と執着心。守安祥太郎というピアニストは、それが桁違いなレベルだった。

その時代のセッションを記録した音源がある。『幻のモカンボ・セッション’54(The Historic MOCAMBO Session'54)』(写真左)としてリイシュー・リリースされた。1998年8月のことであった。CD3枚組。1990年のリリース折にはCD2枚組だった。1998年はCD3枚組。1954年、横浜モカンボでの伝説的なセッション。

ちなみに、セッションに参加したパーソネルを列挙すると、守安祥太郎 (p), 渡辺明 (as), 渡辺貞夫 (as), 五十嵐明要 (as), 海老原啓一郎 (as), 山屋清 (as), 宮沢昭 (ts), 鈴木寿夫 (b), 滝本達郎 (b), 秋吉敏子 (b), 清水閨 (ds), 五十嵐武要 (ds), ハンプトン・ホーズ (p)。日本ジャズの黎明期の「志士」たちである。

冒頭の「I want to be happy」を聴けば、その時点での日本ジャズのレベルが掴み取れる。まず、宮沢昭のテナーに感心する。これって、もう米国西海岸に比肩するレベルではないか。そして、圧巻は守安のピアノ。長いアドリブ・フレーズに、一貫したブレの無い疾走感、バラツキの無い強靭なタッチ、弛むことのない展開。これが当時の日本ジャズのピアニストのレベルなのか。思わず、身を乗り出して聴き込んでしまう。
 

The_historic_mocambo_54

 
米国東海岸の優れたビ・バップの演奏について、テープレコーダーのない時代にレコードから正確に採譜したそうである。その成果が、このセッションに直結している。採譜をし、理論的にビ・バップを理解し、その上で、自らのプレイに臨んでいる。優れたプレイがてんこ盛りなのも合点が行く。凄まじい程の探求心、そして向上心。

手本がソニー・スティットとバド・パウエルのものだと言われている。が、このCDに記録されているセッションには、既に、日本人の日本人による日本人の為のジャズの個性が十二分に提示されている。

疾走感をそこはかとなく押さえつつ、高速フレーズの中で、独特の間を活かしたアドリブ・フレーズが新鮮だ。オフビートをそこはかとなく押さえつつ、適度に乾いたファンクネスは、日本人ジャズ独特のものである。

1954年のテープ録音である。音は良くない。しかし、聴き取ることの出来るレベルであり、このCDに収録されているセッションの内容の素晴らしさを感じれば、音の良し悪しは気にならないレベルである。まあ、しかし、ジャズ者初心者の方々にはちょっとしんどいかも。ジャズを十分に聴き馴れた、ジャズ者中堅の方々にお勧めである。一度は聴いて欲しい。

守安祥太郎というジャズピアニストがいた。大正13年に生まれ、戦後の日本のジャズを牽引したが、31歳で不慮の死を遂げた。しかし、その遺産は、穐吉敏子、渡辺貞夫を筆頭にしっかりと継承された。その「遺産」の記録である。

 
 

震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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コメント

私もこのアルバムをはじめて聞いた時にはそのレベルの高さに驚きました。偏見をもっていた(聞かず嫌いです)日本のジャズを見直すきっかけとなった1枚でもありました。

その後「銀巴里セッション」も衝撃でしたが、日本初のジャズのステレオ録音といわれるナベサダのファーストLPやら同じくキングの久保田二郎監修の宮沢昭盤は今でも愛聴盤です。

実は11pmでの「巨泉ジャズ」が大嫌いでした。(~o~)(カッコ悪い不良中年の聴く音楽)というイメージで苦手でした。また日活のアクション映画のサントラが「ジャンゴもどき」だったり「ダンモ乱発」?風であったこともますます偏見に拍車がかかったいたように思います。

そのトラウマがあるせいでしょうか、今でも若いフアンから「なにか紹介して」ときかれても(・・おっさんが好きなものを教えて、ジャズがきらわれてもなあ・・)と不安がよぎります。笑

マスターの日々のご紹介は初心者からベテランまで大いに刺激してくれますね。^^

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