良いぞ、サンボーンの今年の新作
2人の共演は1999年の『Inside』以来。15年ぶりのコラボレーションになるらしい。マーカス・ミラー(Marcus Miller)をプロデューサーに迎えての新作になる。その新作とは、David Sanborn『Time and The River』(写真左)。参加ミュージシャンは、いつになく若手が多数。なんだか聴く前から、その内容にワクワクする。
サンボーンと言えば、端正で官能的で伸びやかなサックス・プレイが身上。あまりに端正で官能的で伸びやかなサックスなので、耳当たりの良い、聴き心地の良い伴奏に乗ると、あまりの耳当たりの良さに、サックス・プレイ自体が雰囲気に流されてしまう傾向にある。いわゆる「ながらのサンボーン」と言われる所以である。
しかし、サンボーンのサックス・プレイは、正統派でかつ硬派なものである。決して「ながらのサンボーン」で片づけられてしまう類のサックスでは無い。その正統派でかつ硬派なサンボーンのサックスをそのまま活かすには、それ相応の優れたプロデューサーが必要だと常々感じている。で、この新作を聴いて、それは確信に変わった。
この新作の『Time and The River』では、R&Bの要素を取り入れた、メインストリームなコンテンポラリー・ジャズに仕上がっている。この「R&Bの要素」を取り入れたところがミソ。サンボーンの正統派でかつ硬派なサックスが活き活きとしている。もともとは、R&B系の演奏が得意ジャンルだったサンボーンである。原点回帰である。
R&Bの要素を取り入れたが故に、サンボーンのサックス・プレイが甘きに流れることは無い。この新作を聴けば「ながらのサンボーン」なんて言わせない。ゴツンと聴き応えのある、硬派なサンボーン節が満載である。さすがにかの帝王マイルスに見そめられたマーカス・ミラーである。サンボーンの「泣きのサックス」をストレートに活かす術を知っている。
良きフュージョン・ジャズの雰囲気を色濃く引き継いでいる。「R&Bの要素」を取り入れたことで、ジャジーな雰囲気が前面に出て、耳当たりの良いスムース・ジャズというよりは、メインストリームなコンテンポラリー・ジャズが、往年のフュージョン者の我々の耳には、実に心地良く響く。
良い感じのサンボーンが帰ってきたって感じですね。良いアルバムです。サンボーンの「泣きのサックス」が粗く生々しい。まだまだ現役。老け込む歳でも無い。「Windmills Of Your Mind」では、R&B的な女性ボーカルが登場するが、このボーカルはランディ・クロフォード。良い雰囲気です。
ジャケットを見て「ギョッ」とするのは、でーんとジャケットのど真ん中にあしらわれた「川」の文字。もちろん『Time and The River』というタイトルの「The River」の漢字当てだが、同時に 「3本(サンボン)の線」=「サンボーン」を意味するものでもあるらしい。ほんまかいな(笑)。
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