« ショーターのワールド・ミュージック 『Native Dancer』 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・63 »

2015年5月26日 (火曜日)

良いぞ、サンボーンの今年の新作

2人の共演は1999年の『Inside』以来。15年ぶりのコラボレーションになるらしい。マーカス・ミラー(Marcus Miller)をプロデューサーに迎えての新作になる。その新作とは、David Sanborn『Time and The River』(写真左)。参加ミュージシャンは、いつになく若手が多数。なんだか聴く前から、その内容にワクワクする。

サンボーンと言えば、端正で官能的で伸びやかなサックス・プレイが身上。あまりに端正で官能的で伸びやかなサックスなので、耳当たりの良い、聴き心地の良い伴奏に乗ると、あまりの耳当たりの良さに、サックス・プレイ自体が雰囲気に流されてしまう傾向にある。いわゆる「ながらのサンボーン」と言われる所以である。

しかし、サンボーンのサックス・プレイは、正統派でかつ硬派なものである。決して「ながらのサンボーン」で片づけられてしまう類のサックスでは無い。その正統派でかつ硬派なサンボーンのサックスをそのまま活かすには、それ相応の優れたプロデューサーが必要だと常々感じている。で、この新作を聴いて、それは確信に変わった。

この新作の『Time and The River』では、R&Bの要素を取り入れた、メインストリームなコンテンポラリー・ジャズに仕上がっている。この「R&Bの要素」を取り入れたところがミソ。サンボーンの正統派でかつ硬派なサックスが活き活きとしている。もともとは、R&B系の演奏が得意ジャンルだったサンボーンである。原点回帰である。
 

Time_and_the_river

 
R&Bの要素を取り入れたが故に、サンボーンのサックス・プレイが甘きに流れることは無い。この新作を聴けば「ながらのサンボーン」なんて言わせない。ゴツンと聴き応えのある、硬派なサンボーン節が満載である。さすがにかの帝王マイルスに見そめられたマーカス・ミラーである。サンボーンの「泣きのサックス」をストレートに活かす術を知っている。

良きフュージョン・ジャズの雰囲気を色濃く引き継いでいる。「R&Bの要素」を取り入れたことで、ジャジーな雰囲気が前面に出て、耳当たりの良いスムース・ジャズというよりは、メインストリームなコンテンポラリー・ジャズが、往年のフュージョン者の我々の耳には、実に心地良く響く。

良い感じのサンボーンが帰ってきたって感じですね。良いアルバムです。サンボーンの「泣きのサックス」が粗く生々しい。まだまだ現役。老け込む歳でも無い。「Windmills Of Your Mind」では、R&B的な女性ボーカルが登場するが、このボーカルはランディ・クロフォード。良い雰囲気です。

ジャケットを見て「ギョッ」とするのは、でーんとジャケットのど真ん中にあしらわれた「川」の文字。もちろん『Time and The River』というタイトルの「The River」の漢字当てだが、同時に 「3本(サンボン)の線」=「サンボーン」を意味するものでもあるらしい。ほんまかいな(笑)。
 
 
 
★震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ショーターのワールド・ミュージック 『Native Dancer』 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・63 »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 良いぞ、サンボーンの今年の新作:

« ショーターのワールド・ミュージック 『Native Dancer』 | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・63 »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー