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2015年5月25日 (月曜日)

ショーターの評価に困るソロ盤

ジャズ・ミュージシャンって、判り易い人と判り難い人とはっきり分かれる気がする。判り易い人はとことん判り易い音楽を奏でるし、判り難い人はとことん判り難い展開をする。ジャズって、そういうところがハッキリしていて面白い。

僕にとって、判り難い人の筆頭が「ウェイン・ショーター(Wayne Shoter)」。この人はさっぱり判らん。ジャズ界のレジェンド、天才テナー奏者の誉れも高いショーターだが、どうにもこうにも、この人の音楽性と活動方針は判り難い。

もともとは、アート・ブレイキーとマイルス・デイヴィスに見出され、1960年代半ばから後半にかけて、マイルスの黄金のクインテットの一員として一世を風靡している。マイルスの薫陶の下では、モード奏法を駆使して、限りなく自由度の高いハードバップを展開した。

しかし、マイルスの下を離れてから、その活動内容は怪しくなる。エレクトリック・ジャズを良しとせず、マイルスの下を離れたが、モード奏法を駆使して、限りなく自由度の高いジャズを追求すべく、ジョー・ザビヌルと組んで「Weather Report」を結成した。が、この「Weather Report」はエレクトリック・ジャズが専門となった。

ファンクはいやだとか、エレクトリック・ジャズはいやだとか言いながらも、Weather Reportの『Sweetnighter』ではアーシーなリズム&ビートに手を染め、次の『Mysterious Traveller』では完全に地に足の着いたアーシーでエレクトリックな展開に変貌した。加えて、アフリカン・ネイティブでワールド・ミュージック的な音世界にも手を染めた。

そして、そのまま、アフリカン・ネイティブでワールド・ミュージック的な音世界をザビヌルとの「Weather Report」で展開すれば良いものを、なぜか、同時期にソロアルバムを発表し、その内容が、全くの「アフリカン・ネイティブでワールド・ミュージック的な音世界」バッチリの内容なのだ。この時点で、僕はショーターにとってのソロとバンドの位置づけが判らなくなった。

そのショーターのソロアルバムとは、Wayne Shorter『Native Dancer』(写真左)である。1974年のリリース。Weather Reportのアルバムに照らし合わせれば『Mysterious Traveller』と同時期に、ソロアルバムをリリースしたことになる。しかも、内容的には同じ雰囲気のもの。ええんかいな。
 

Native_dancer

 
パーソネルを眺めると判り易い。Wayne Shorter (ts,ss), Milton Nascimento (g,vo), David Amaro, Jay Graydon (g), Herbie Hancock (p,key), Wagner Tiso (org,p), Dave McDaniel (b), Roberto Silva (ds), Airto Moreira (per)。ミルトン・ナシメントの名前が目を惹く。これって、ショーター・ミーツ・ブラジルである。

冒頭の「Ponta de Areia」を聴くと、ブラジリアンというよりは、アフリカン・ネイティブでワールド・ミュージック的な音世界が展開されていてビックリする。土着なワールド・ミュージック的でネイティブな響き、アフリカンなリズム&ビート、野趣溢れるボーカル。これって、Weather Reportでの双頭リーダーの相方、ジョー・ザビヌルの得意ジャンルではないか。

この『Native Dancer』ってアルバム、ショーターにとってどういう意味を持つアルバムだったのだろう。Weather Reportでの双頭リーダーの相方、ジョー・ザビヌルのお株を奪うような『Native Dancer』の音世界。しかも、このソロアルバムの後、11年間、ソロアルバムをリリースすることは無かった。じゃあ、この『Native Dancer』って、ショーターにとって何だったのだろう。

ザビヌルに対する当てつけだったのかも。「Weather Report」を我が物の様に取り回すザビヌルに対する牽制だったのかも。俺もこれくらいのアルバムは一人で作れるんだぜ、なんて声が聞こえてきそうな、ショーターにとっての「ひとりでできるもん」なアルバムだったのかもしれない(笑)。

ショーターのキャリアと個性を鑑みると、この『Native Dancer』というソロアルバムは異端中の異端であり、ショーターがアフリカン・ネイティブでワールド・ミュージック的な音世界に手を染める必然性も感じられず、何ともはや、評価に困るソロアルバムではあります。世間では手放しで高い評価を与えられることの多い盤ですが、僕にはいまいち、ピンときません。  
 
いっそのこと、Weather Reportのアルバムとして、この『Native Dancer』が制作され、リリースされていたら、相当な名盤に仕上がっていたのではないか、と思っています。それほどまでに、Weather Reportの個性にピッタリの音世界が、この『Native Dancer』の中にギッシリと詰まっています。
 
 
 
震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

テイルスピニン、ネイティブダンサー、ブラックマーケット、ヘビーウェザーの4アルバムはセットの評価が必要ですね。ウェインの聴きどころは何といっても音ですね、ソプラノの音の凄さはコルトレーンを含めた他の誰も相手じゃないですね。それにしても音の良さ(超一流)と演奏の下手くそさ(3流)が入り混じったウェインのキャラはなかなか興味深いものがあると思いますが・・・(^_-)-☆

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