大人の余裕漂う 『A・SO・BO』
カシオペア。この日本のフュージョン・バンドの出現はセンセーショナルだった。個人的には、ジャズ者を志して2年目の1979年にデビュー。このデビュー盤の衝撃については、今でも覚えている。老舗のフュージョン・バンドとして長年活動を継続してきたが、2006年にすべての活動を一旦休止。2012年にCASIOPEA 3rdとして活動を再開している。
僕が大学時代に聴き親しんだカシオペアのパーソネルは、野呂一生 (g), 櫻井哲夫 (b), 向谷実 (key) 神保彰 (ds)。そして、CASIOPEA 3rdのパーソネルは、野呂一生 (g), 鳴瀬喜博 (b), 大高清美 (key), 神保彰 (ds)。ギターとドラムは結成当時と変わらない。
現在では、CASIOPEA 3rdとして活動している訳だが、2015年4月22日に最新アルバムを発表している。そのアルバム・タイトルは『A・SO・BO』(写真左)。カシオペア独特のユニゾン&ハーモニーとリズム&ビートをしっかりと踏襲、往年のカシオペアのファンにとっては堪らない内容となっている。
テクニック的には超絶技巧が基本。リズム面では16ビートが基本。ハーモニーとインプロビゼーションの展開はジャズのマナーをベースとしている。複雑なコード進行でありながら、何事も無いようなスムーズで自然なコード進行と転調が特徴。音楽が好きであれば好きであるほどその良さが判るという、マニア想い、オタク想いのフュージョン・バンドである(笑)。
今回の新盤『A・SO・BO』は、そんな「良きカシオペアの個性」をしっかりと踏襲した内容なっていて、聴いていてとにかく楽しい。長年、カシオペアの音に聴き馴れた耳には、大高清美のオルガンが新鮮に響く。キーボードも洒脱なフレーズを連発し、そのフィンガー・ワークは実に安定している。CASIOPEA 3rdについては、まず、この大高清美のキーボードを聴くべきだ。
野呂一生のギターはカシオペアのデビューの頃の音と全く変わらない。頑固なまでに変わらない野呂のギターは凄く頼もしい。変わらないということが、これほどまでに「頼もしい」とは。何も「変わる」ばかりが進化では無いことが、野呂一生のギターを聴いていると良く判る。
そして、やっぱりドラムは神保彰では無いと駄目だろう。そこに鳴瀬喜博のベースが絡んで、カシオペアの独特のリズム&ビートが供給される。遊び心満点のベース&ドラム。乾いたグルーブがCASIOPEA 3rdのフロントを煽りまくる。このCASIOPEA 3rdの『A・SO・BO』では、往年のカシオペアのリズム&ビートが完全復活している。滑らかで爽快な16ビート。決して五月蠅くならない、乾いたオフビート。
とにかく、メンバーの4人共に、それぞれのプレイに余裕が感じられて良い雰囲気である。決してガツガツしておらず、決しててんぱってもいない。大人の余裕が漂う、遊び心満点の16ビートのフュージョン・ジャズ。アルバム・タイトルの『A・SO・BO』は、まさに言い得て妙である。往年のフュージョン・ジャズ者にお勧めの好盤です。
★震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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