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2015年5月27日 (水曜日)

ジャズ喫茶で流したい・63

なかなか「ジャズ喫茶で流したい」シリーズで、フリージャズのアルバムは選びにくい。フリージャズは聴く人を選ぶ。ジャズ喫茶に居合わせたお客さんそれぞれが、何らかの形で楽しむには、フリージャズはちょっと辛い。しかし、この人のフリージャズは違う。意外と、ジャズ喫茶に居合わせたお客さんそれぞれが、何らかの形で楽しむことが出来るのだ。

今を去ること約35年前。ジャズ者初心者ほやほや、ジャズを聴き初めて2年目の頃、僕はフリージャズが全く判らなかった。本能のおもむくまま、感情のおもむくままに、サックスを吹きまくる、ピアノを叩きまくる。何が素晴らしいのかサッパリ判らなかった。

そんな中、例の秘密の喫茶店で教えて貰った「山下洋輔」のフリージャズは、ちょっと違った印象だった。なんだか聴いていて「判る」のだ。当時、まだジャズ者2年生。なぜ「判る」のかはサッパリ判らないのだが、山下洋輔のフリージャズは入り易かったし、聴き易かった。

そんな中で、僕はこのアルバムに出会った。山下洋輔『寿限無 VOL.1&2』(写真)である。1981年に東京NECスタジオと、東京テイチク杉並スタジオ他にて録音された、1981年発表の山下洋輔ミュージックの集大成的なアルバムである。

発売当時は、vol,1 vol.2 と別々に発売されたものを、今回リイシューでパッケージ化したもの。録音日についても半年程の間隔が空いているし、メンバーも違う。完全な別セッションなので、vol,1 vol.2それぞれ別物と捉えたほうが良い。確かに、発売当時、34年前は、vol,1 vol.2とも別々のものとして聴いていた。

vol.1 は、伝説のテナーマン・武田和命の参加がハイライト。聴けば判るんだが、この武田のテナーが良いんだ。1981年2月17、18日録音、東京・NECスタジオでの録音。ちなみにパーソネルは、山下洋輔 (p), 小山彰太 (ds), 武田和命 (ts), 国仲勝男 (b)。フリーにやっているんだが、今の耳で聴くとフリーじゃない。立派なメインストリーム・ジャズだ。
 

Jugemu

 
vol.2 は、当時のメインストリーム・ジャズメンのオールスターズ。凄い面子だぜ。列挙する。山下洋輔(p), 川端民生(b), 村上ポンタ秀一(ds), トニー木庭(ds), ペッカー(perc), 渡辺香津美(g)、坂田明(vo)、向井滋春(tb)、清水靖晃(ts)、中村誠一(ts)、武田和命(ts)、林栄一(as)、石兼武美(bs)、大野ストリングス。1981年7月20〜8月19日の録音になる。

フリージャズの範疇に属していた山下洋輔であるが、この『寿限無 VOL.1&2』を聴く限り、これは純粋なフリージャズでは無い。非常に良く計算され、非常に自由度の高いメインストリームなジャズである。言い換えれば、当時の世界のメインストリーム・ジャズの中で最高峰に位置するメインストリーム・ジャズだと断言しても良い。

それほどまでに素晴らしい内容であり、それほどまでに思いっきりジャズしている。それぞれの曲には、なかなか意味深でユニークな曲名がついているが、その曲名を十分にイメージしながら、それぞれの演奏の凄さ、素晴らしさに酔いしれることができるのだ。 

vol.2 の5曲目「寿限無」がその最たる例である。ミジンコ愛好家としても知られる坂田明がボーカルのみで参加している。そのボーカルの歌詞が、落語の「寿限無」のくだりそのままなのだ。坂田明のボーカルは、まさしく「ラップ」だ。まさしく「ジャズ」だ。田中角栄氏のモノマネなんかも入って、無茶苦茶、趣味が良い。

この山下洋輔『寿限無 VOL.1&2』は聴きものだ。今の耳で聴いても、新鮮な展開、新鮮なフレーズが満載。本能のおもむくまま、感情のおもむくまま一辺倒では無い、それぞれ良く考え、良くアレンジされ、良くイマージネーションされた、メインストリームなジャズがここにある。何回繰り返し聴いても飽きない。素晴らしいアルバムである。

 
 

震災から4年2ヶ月。決して忘れない。まだ4年2ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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