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2015年4月22日 (水曜日)

Vol.1よりアバンギャルド度が高い

当時、このドルフィー=リトルの演奏は、ちょっと前衛的が過ぎる、と思われていたんだろう。このライブ盤を聴いて思う。昨日、ご紹介した前作より、かなりアグレッシブでプログレッシブな内容に感じ入る。

そのライブ盤とは、Eric Dolphy『At The Five Spot, Vol. 2』(写真左)。録音日はVol.1と同様、1961年7月16日。ニューヨークのライブスポット「ファイブ・スポット」でのライブ録音。ちなみにパーソネルも同様。Eric Dolphy (b-cl, fl), Booker Little (tp), Mal Waldron (p), Richard Davis (b), Ed Blackwell (ds)。

このVol.2でのドルフィーは、バスクラとフルートのみで吹きまくっている。アバンギャルド度では圧倒的にVol.1を上回る。そして、バスクラの演奏の可能性という点では、恐らく、このドルフィーのバスクラ演奏が最高水準であろうと思われる。それほどまで、ドルフィーはバスクラという楽器を理解している。

フルートについては、アブストラクトでエモーショナルなフルートという範疇で、このドルフィーのフルートは最高水準を誇る。バンバンにアバンギャルドに吹きまくっているにも拘わらず、音は割れず、音は破綻せずに、流麗にアドリブ・フレーズを聴かせてくれる。素晴らしいテクニック。捻れまくる運指。

そして、このライブ盤でのブッカー・リトルが、これまた良い。この盤でのリトルを聴くと、限りなくフリーに近い、自由度の高いブロウを繰り広げてはいるが、マイルスのモードをベースとした自由度の高いブロウとは一線を画していることが良く判る。あくまで、リトルの自由度は、ドルフィーの様にトランペットを吹く、という、ドルフィーをベースとした自由度の高いブロウなのだ。
 

At_the_five_spot_vol2

 
このVol.2でのリトルは素晴らしい。Vol.1では、当然ではあるが、リーダーのドルフィーが目立ちに目立っている。が、Vol.2になると、ドルフィーのバスクラ、フルートと同程度に、リトルのトランペットが目立っている。リトルのトランペットを愛でる上で、申し分の無いライブ盤である。

パルシブなウォルドロンのピアノも、ユニークな自由度を誇る。他のピアノには絶対に無い自由度の高い弾き回し。ウォルドロンのピアノも、やはり、ドルフィーの様にピアノを弾く、という、ドルフィーをベースとした自由度の高い弾き回しなのだ。

ライブ演奏の雰囲気は、限りなくフリーに近い、自由度の高い演奏ではあるが、演奏のベースは「純ジャズなバップ」。フリージャズトは解釈、アプローチ共に全く異なる。この雰囲気は、モーダルなアコ・マイルス、限りなくフリーだが伝統的な香りのするオーネット・コールマンの雰囲気に近い。

良いライブ盤です。ジャケットもVol.1とのシリーズ感が溢れていてグッド。収録曲は「Aggression」と「Like Someone in Love」の長尺物の2曲のみですが、長時間のライブ演奏にも拘わらず、全く飽きません。

但し、このアルバム、内容的には、限りなくフリーに近い、自由度の高いジャズがてんこ盛りなので、決して初心者向きではありません。取り扱い注意なライブ盤です。

 
 

震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

私がこちらのブログを愛する最大の理由は、僭越ながら松和のマスターのご趣味およびその聴き所に深く共感することが多いからでもあります。m(__)m

SJ誌のディスクレビューを長年拝読していますとあきらかに「この人は流し聴きで書いているな・・」としか思えないレビューが散見されたこともありました。笑

マッコイタイナーの「エコーズオブフレンド」のライナーで日本の担当プロデューサーが「録音当日のマッコイはやる気がなかった。そこでこの録音はアメリカでも発売する、と伝えるとマッコイが俄然やる気をみせた」と
ありました。

当時来日ミュージシャンの多くは「何をやっても拍手喝采」の日本人の観客への不信感(=見下し感)があったとか。

クラシックのコンサートでも楽章の終わりで感激のあまり拍手でもしようものなら周囲の冷たい視線をあびますが、そのくせ有名海外オケなどは専属のプロの「ブラボー!マン」をつれてくるとか。笑

私は10年ほど昔都内の某ライブに売り出し中の若手コンボの演奏を聞きにでかけたおり、そのドラマーがなんとサキコロのセントトーマスのマックスローチのソロを「まんま完全コピー」で演った時には思わず「ブー!;;」とつぶやいて周囲から不審な視線をあびたことがありました。

ジャズもだんだんクラシックのようになっていくのですかねえ。。笑

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