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2015年4月19日 (日曜日)

山下洋輔トリオのお宝音源

日本ジャズはフリー・ジャズへの造詣が深い。時代的に、ジャズというものに芸術性、精神性を求めたこともあって、日本は早くからフリー・ジャズのムーブメントに反応した。

欧米では、バルトークやストラビンスキーなどの不協和音を採用した自由度の高いクラシックを下敷きにしながら、最低限のルールの下で自由に弾きまくる、吹きまくるというアプローチで、フリー・ジャズのムーブメントを推し進めた。

日本では、その欧米のアプローチを参考にしつつ、いにしえの頃から日本にあった、日本固有の音楽である「雅楽」がそうであるように、音の間を活かした、音のスペースを意識した、日本人独特のアプローチを加味して、日本独特のフリー・ジャズを展開した。

個人的には、ジャズ者初心者の早い頃から、日本のフリー・ジャズに触れている。もともと、ジャズを聴き始めたのが1978年。当時、日本のフリー・ジャズでは、山下洋輔トリオが絶大な人気を誇っていた。当然、FMなどで耳に触れることがある。山下洋輔トリオは、僕にとって、最初のフリー・ジャズ体験だった。

そんな山下洋輔トリオのお宝音源が発掘された。タイトルはシンプルに『山下洋輔トリオ』(写真左)。銀色の紙ケースに包まれて、ちょっとゴージャズな雰囲気。中身はと言えば、1973年8月、モウリスタジオで録音した音源。ちなみにパーソネルは、山下洋輔(p), 森山威男(ds), 坂田明(as, cla)。伝説のトリオである。

1973年オープン・テープでのみの発売された貴重な音源である。解説によれば、2チャンネルのオープン・テープとしてのみ発売された当時、定価18,000円であったとのこと。うへ〜、どういう販売形態と値段設定だったのか。1973年当時、定価18,000円はかなりの高額で、しかも、再生にオープン・リール・デッキが必要で、このオープン・リール・デッキがかなり高価な代物ときている。この音源を耳に出来たジャズ者はごく少数だったと推察する。
 

Yamashita_yosuke_trio

 
収録された曲は以下の3曲。どの曲も、当時の山下洋輔トリオの魅力をダイレクトに伝える名曲ばかりである。まあ、名曲とは言っても、フリー・ジャズの演奏曲なので、テーマ部だけに辛うじて、定型のフレーズが存在していて、それだけでタイトルを判別するのだから、曲のタイトルも曲の選別に活用するだけで、フリーな演奏に何か影響を与えるものでは無い。

1.ズーボ
2.ミナのセカンドテーマ
3.ミトコンドリア

1曲目は、山下洋輔のオリジナル曲で、このトリオのオープンでダイナミックな個性を、激しい演奏の中で提示した名演。これはテクニックが確かで無いと、これだけのフリーな演奏はまとまらない。凄まじいテンションとカオス。しかし、そこはかとなく流れる、日本的な音のスペースを意識した展開。

2曲目は実に粋なタイトルで、僕はこの曲のタイトルだけで、この曲が好きだ(笑)。映画「荒野のダッチワイフ」のために作られた山下洋輔のオリジナルで、当時、フリー・ジャズは前衛的な映画のサウンドトラックに度々採用されていた。フレシキビルなフリー・ジャズ。山下洋輔トリオの柔軟性が十分に感じられる。

3曲目は、タイトルから推察されるように坂田明のオリジナル曲。凄く尖ったフリー・インプロビゼーションがたまらない。坂田明のプレイが非常に高いレベルにあることを十分に認識させられる、素晴らしく「殺気だった」三人三様のフリーな演奏バトルである。

これは素晴らしい音源である。このCDでのリイシューには喝采を送りたい。山下洋輔トリオの絶頂期の演奏を捉えた上質な音源であり、これは現代の若きジャズ者の方々に、是非とも一度は耳にして聴き込んで頂きたい、日本人の日本人による日本人の為のフリー・ジャズである。この演奏を聴くにつけ、日本人として、当時の日本のフリー・ジャズに誇りを感じる。

 
 

震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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