ヘイデンの「白鳥の歌」です。
この半年、折につけ、よく聴くデュオ盤がある。Keith Jarrett & Charlie Haden『Last Dance』(写真左)。
2007年のキースの自宅、ケイヴライト・スタジオでの録音。名盤『Jasmine』の続編、言い換えると、残り音源の「落ち穂拾い」である。『Jasmine』の後を受けての再会セッションでは無い。
改めて、パーソネルを確認すると、Charlie Haden (b), Keith Jarrett (p)。昨年7月に惜しくも亡くなった、ベースの哲人、チャーリー・ヘイデンとピアノのキース・ジャレットとの、美しきスタンダード集、デュオ演奏である。
この二人のデュオは非常に内容がある。デュオ演奏の基本は「対話(ダイアローグ)」である、と言われるが、実はピンと来ないことが多い。が、このキースとヘイデンのデュオを聴くと、この「対話(ダイアローグ)」という感覚に合点がいく。百聞は一聴にしかず、である。
キースとヘイデンのコラボ、と言えば、30年ほど前の、キースの「アメリカン・カルテット」での共演が思い浮かぶ。火の出るような、限りなくフリーで激情溢れるカルテット演奏は、それはそれは「凄まじい」ものだった。
しかし、この『Last Dance』でのキースとヘイデンのコラボは、「アメリカン・カルテット」でのコラボとは全く異なったイメージ。ヘイデン曰く「キースもよく聴き、僕も聴く。それが僕たちデュオの極意。お互いを聴くことが演奏には大事なんだ」。デュオ演奏の基本は「対話(ダイアローグ)」。このアルバムには、デュオ演奏の極意が詰まっている。
「前作『Jasmine』が好きだった人には必ず気に入っていただける作品。僕たち2人が一緒に演奏すると、まるで2人が歌っているようなんだ」と語るキース・ジャレット。確かにそう思う。この『Last Dance』は、『Jasmine』よりも落ち着いた雰囲気の、シンプルで木訥としたデュオ演奏が実に味わい深い。
『Jasmine』に収録された「Where Can I Go Without You」と「Goodbye」の2曲の別テイクの存在が意味深である。この2曲が、先にリリースされた2010年の『Jasmine』とこの2014年の『Last Dance』を繋ぐ「架け橋」の様な存在。実に味わい深い、深遠な印象の2曲である。
2014年7月、チャーリー・ヘイデン没。この『Last Dance』はヘイデンの「白鳥の歌」の様に響く。本当に実に惜しいベーシストを亡くした。ご冥福をお祈りしたい。
震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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