このアルバムに理屈は要らない
こういうアルバムがポロッと出てくるから、ジャズというものは面白い。しかも、日本のジャズシーンからのリリースである。日本のジャズシーンが世界レベル、という事実は、21世紀になった今でも続いているのは喜ばしいことだ。
そのアルバムとは、The Two Sounds Super Quartet『Midnight Blues』(写真左)。2015年1月のリリース。関西で活動する安原滋良、阪本正明による双頭ギター・カルテットのデビュー盤である。2ギターのカルテットとは実に珍しい編成である。ちなみにパーソネルは、安原滋良、阪本正明 (g), 三橋香津史 (b), 田中ヒロシ (ds)。
このアルバムに理屈は要らない。スッと入って、スッと聴いて、スッと感じれば良い。冒頭の「Midnight Blues」を聴けば良く判る。二本のギターのユニゾン&ハーモニー。むっちゃジャジーで、むっちゃファンキー、そして「クール」。思わず、おおっと感じて、前のめりになる。
このアルバムは、全編に渡って、ジャズ・ギターのサウンドを心ゆくまで堪能できるアルバムです。これだけ、聴いていて楽しく、聴いていてジャズをバリバリに感じるジャズ・ギター盤はありそうで、なかなか無い。
二本のギター、という編成が決め手である。ギターという楽器は、フレーズを弾き進める時は、弦1本での弾き回しになるので、どうしても音が細くなる。強く弾けば太い音にもなるのだが、強く弾くと、繊細なニュアンスは望めず、疾走感溢れる速弾きが出来なくなる。といっても、普通の1本のギターではやはり線が細くなる。
で、二本のギターである。聴いて「なるほど」と思った。二本のギターでのユニゾン&ハーモニーを弾き分けることになるので、ギターの音色、テクニックのレベル、弾き癖、リズム感、それぞれの切り口での、二本のギターの「相性」が実に重要な決め手となるが、このThe Two Sounds Super Quartetでは、その「相性」というハードルを十分にクリアしている。
録音も良い。スタジオの空間の響きが素直に伝わってきて、スタジオの拡がり、響き、奥ゆきが感じられる良好な録音。二本のギターという珍しいシチュエーションでのジャズ録音という難度の高い状況を十分にクリアしているのは立派だと思う。
良いアルバムです。理屈抜きでジャズ・ギターの演奏が楽しめる好盤です。まだまだ、ネットで紹介されることが少ないアルバムですが、我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、ジャズ者全ての皆さんにお勧めで、既にヘビロテ盤になっています。
震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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ありがとうございます
これからも愛聴盤として聴いていただけたら幸いです
またセカンドアルバムが出ましたらよろしくお願いします^_^
THE TWO SOUNS SUPER QUARTET
安原滋良
投稿: 安原滋良 | 2015年5月23日 (土曜日) 02時25分