ギルモアの「泣きのギター」
昨日、キング・クリムゾンの話題が出たところで、今日もプログレッシブ・ロックの話題を続けようと思う。
誰がつけたか、三大プログレ・バンドという言葉がある。三大プログレ・バンドとは、ピンク・フロイド、イエス、キング・クリムゾン。1960年代後半に結成され、1970年代中頃までが人気のピーク。オリジナル・アルバムはリリースの都度、売れに売れた。
1970年代後半、斜陽のプログレと言われ、1980年代に入って、もうだめか、と思ったら、この3大バンドは活動を継続。21世紀に入るまでに、他のプログレ・バンドのほとんどが解散、活動停止に至ったが、この三大プログレ・バンドは、なんと、今に至ってもまだ活動している。
この三大プログレ・バンドは個性がハッキリしていて、とにかく演奏テクニックが相当に高度。かれこれ半世紀もの長い間、活動を継続しているが、マンネリに陥ることが無い。これは素晴らしいことだ。さすが、三大プログレ・バンドと呼ばれる所以である。
さて、その三大プログレ・バンドの中で、情緒的に雰囲気で聴かせるバンドがピンク・フロイド。このピンク・フロイドで、長年、ギタリストを務めているのが、David Gilmour(デヴィッド・ギルモア)。ブルース・ギターをベースとした「泣きのギター」が特徴。
ゆったりとした独特のチョーキング・フレーズで、情緒的に哀愁を漂わせつつ、浮遊感や空間の広さを感じさせる、一聴するだけでギルモアのギターと判る「泣きのギター」である。実は、このギルモアの「泣きのギター」がピンク・フロイドの音の個性を決定づけているのだ。
ピンク・フロイドの音の構成、音の作り方、音の考え方については、ベースのロジャー・ウォーターズが担っていたが、ピンク・フロイドの音の個性と色と展開を決定づけていたのは、ギルモアのギターとリック・ライトのキーボードである。特に、ギルモアの「泣きのギター」はピンク・フロイドの代名詞である。
そんなギルモアの「泣きのギター」を堪能出来るソロ・アルバムがある。David Gilmour『On an Island』(写真左)である。2006年3月のリリース。このアルバムでのギルモアのギターは、往年のピンク・フロイドでの「泣きのギター」そのものである。ギルモアの個人名義では無く、ピンク・フロイド名義でリリースしても全く違和感の無い音の作りとなっている。
どの曲を聴いても、ギルモアの泣きのギターが映える。ピンク・フロイドのアルバムを聴いている様な錯覚に陥ることもしばしば。このソロアルバムをリリースした当時の、ギルモア自身の「ピンク・フロイドとしての活動に興味がない」なんて発言もあるが、なんだか、皆の大好きなフロイドの音を決めているのは俺さ、と無言の主張をしている様なギルモアの「泣きのギター」なのである。
確かに、フロイドの音を決定づけているのはギルモアのギターだ、ということを強烈に再認識する。1970年代のピンク・フロイドの様なメッセージ性は無いが、往年のプログレッシブ・ロックそのものの音作りはとても心地良く、とても素晴らしい。実に丁寧に作り込まれているようで、ドラマティックな展開、曲毎のバランスなど、往年のプレグレ・ファンの我々にとっては、心にグッとくる好盤です。
プログレッシブ・ロックに求めるものによって、最近のプログレッシブ・ロックのアルバムの評価は大きく分かれる傾向にある。僕はプログレッシブ・ロックにメッセージ性や思想性、革新性を求めるタイプでは無いので、このギルモアのソロ盤は十分に楽しめました。それも一つの楽しみ方でしょう。
震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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