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2015年4月27日 (月曜日)

「ポールやで、当然やろ」の傑作

今を去ること40年ほど前、僕は高校2年生。とある映研女子から部室にて「とにかく聴け」と部長席に叩き付けられた、Paul McCartney & Wings『Band on the Run』(写真)。聴かずばなるまい。

まず、このアルバム、ジャケットがお洒落である。ポール、リンダ、デニーに加えて6名の有名人が囚人服を着て脱獄しようとしているところを刑務所のサーチライトで照らされたという設定。ふふっ、映画「大脱走」を彷彿とさせる。と眺めていると、おぉ、ジェームズ・コバーンがいるではないか(笑)。ポールのディスコグラフィーを眺めると、ジャケット・デザインの優れた盤に駄作は無い。特にこの『Band on the Run』は秀逸である。

かの映研女子に「ジャケットがええなあ」と言ったら「中身、シッカリ聴いたんか」と怒られた。どうも、ポールのファンは、ジャケット・デザインは二の次みたいだ。確かに、ポールのソロ盤のジャケット・デザインは平凡なものが多い。でも、この『Band on the Run』のジャケット・デザインは秀逸だと思うんだが。

さて、僕はそれまでポールのシングル盤はエアチェックでしっかりと押さえていた。特にこの盤のタイトル曲「Band on the Run」と2曲目の「Jet」は、シングル盤で大ヒットした曲なので、その優秀性は良く理解している。つまりは、この『Band on the Run』は、3曲目の以降の楽曲の出来がどうなのか、というところがポイントになる。

3曲目「Bluebird」はしっとりして良いのだが、4曲目の「Mrs Vandebilt」はどうもねえ。聴いたら判るのだが、これって何だろう。ポップスなのか、少なくともロックでは無い。この調子外れの楽曲がどうにもいけない。

かの映研女子に「この曲、なんか変とちゃうか」と言うと、「何を言うんや、これがええんや」と反論する。ポールのファンはこの楽曲が許せるどころか、ポールらしくて良いという。そうかなあ。この曲、絶対に変だと思うんだが。
 

Band_on_the_run

 
5曲目のロックンロールっぽい「Let Me Roll It」で持ち直すんだが、6曲目の「Mamunia」以降は、以前のポールの趣味性が前面に押し出されて、地味な展開になっていく。「Band on the Run」と「Jet」の大ヒットによって、自信を回復した様に見えたポールだが、まだまだ疑心暗鬼の気持ちが漂っているんだろう。

かの映研女子に、この『Band on the Run』はB面がイマイチやなあ、と言うと、チッと聞こえない位の軽い舌打ちをしながら「判ってへんなあ、このB面がええんやん」と言うんやが、そうなんかなあ。

それでも、『McCartney』から、Wingsの『Red Rose Speedway』までのソロ盤と比べて、この『Band on the Run』はトータル・アルバムとして、内容がよくまとまっていて、出来は一番。次作『Venus And Mars』には劣るものの、アルバムの出来は『Venus And Mars』に次いで良い。ということを、かの映研女子に報告したら「ポールやで、当然やろ」。

この「ポールやで、当然やろ」という評は意味深ではある。確かにポールの才能からすれば、この『Band on the Run』レベルのアルバムをバンバンとリリースしても不思議では無いのに、これがまあ、ポールはソロになって、トータル・アルバムとして、なかなか後世に残る傑作アルバムと言うものが出ない。僕はこの「ポールの不思議」を理解するのに20年かかった。

そうそう、この『Band on the Run』には、英国盤と米国盤がある。収録曲がちょっと違う。7曲目の「No Words」までは一緒なんだが、米国盤は全体で1曲多くて、8曲目の「愛しのヘレン」が挿入されて全10曲。

英国盤は「愛しのヘレン」が無くて、8曲目「Picasso's Last Words」そして、ラスト9曲目の「Nineteen Hundred and Eighty Five」で終わり。聴き通してみると、明らかに米国盤は「愛しのヘレン」が浮いている。僕は英国盤が良い。

 
 

震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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コメント

リアルタイムでビートルズのレコードに夢中になっていた私は当時からジョンが好きでしたので、ポールのソロ活動にはあまり関心がなかったのですが、それでも「ジャンク」やら「モンベリームーンデライト」などの曲は好きでした。

一番好きなのはアルバム「ラム」なのですが、今のポールにはまったく関心が行きません。(~_~;)

あまりにビートルズ時代のイメージが強烈だったので今の「老人ポール」のお姿を受け入れることができません。(爆)

これまで私が生で見た「再結成バンド」で一番気にいったのはゼッペリンが一番よかったです。適度な枯れ具合が自分には好感がもてました。

逆にその枯れ具合で少しがっかりしたのは2005年の「クリーム再結成」でした。「狂気」が感じれず残念でした。(笑)

どうも「おっちゃん」さん。松和のマスターです。
 
「クリーム再結成」の件、私も同感でした。あそこまでして再結成する必要があったのか、クラプトンの見識を思わず疑ってしまいました。もともと、クラプトンの再結成ものや最近の企画盤はどうにも駄目なんですよね。
 
ポールについても同様です。あそこまで年齢を重ねた今、日本にまで来てライブをする意義があるのかないのか。しかし、ポール・マニアにとってはたまらない瞬間なんでしょう。そう言えば、今日はポールの武道館ライブでした。相変わらず、大騒ぎ状態ですね。
 

松和のマスターさん、コメントありがとうございます。^^
ジャズの評論家の中にはたとえば「ビリーホリディの全キャリアを聞いてこそ真の姿がわかる」云々と語る人もいますが、それは「マニアの世界」ですよね。笑

いくら聞いてもよいものはよい、つまらないものはつまらない、と思いますです。(~_~;)

私はジャズを聴き始めの頃、「燃え盛るフィルウッズ」から入り、逆たどりしてパーカーをきいても(つまらん、わからん;;)と思いつつ、現在に至っています。

クラシックの専門誌でもたとえば「運命の歴代の決定盤は?」などをみますと、年配のおじじさまの評論家が自分のリアルタイム体験だけで投票するのでいつまでたってもフルトベングラーが選ばれたりしますが(~_~;)、クラシック初心者にこんな古い録音をきかせては「・・・・」と離れていくばかりだなあ・・と思ったりもして。。(~o~)

私が個人的に「録音の古さ」をこえて愛聴して楽しめるのは、ジャズでは
バドパウエルの「アイシュッドケア」と、ジャンゴタインハルトのSPくらいしかありませんです。笑

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