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2015年4月 7日 (火曜日)

大健闘の纐纈『バラーディスト』

楽器というものは、まず基本のテクニックがしっかりしていること。つまり、運指がしっかりしていること。そして、管楽器であれば、楽器自体がよく鳴ること。つまり、タンキングとブロウがしっかりしていること。

それはアルバムを聴けば直ぐ判る。楽器が鳴っているかどうか、そして、テクニックの基本はしっかりしているかどうか。大体、冒頭の1曲目を聴けば判る。しっかりと胴が鳴っている楽器の音は心地良い。テクニックのしっかりしている演奏が気持ち良い。

ジャズ・ジャイアントと呼ばれるミュージシャンは皆、楽器が鳴っている。そして、テクニックがしっかりしている。しかし、これに気が付くのには時間がかかる。同じ楽器を演奏した経験があれば理解は早い。楽器の鳴り、テクニック、それがジャズの良し悪しを決める大切なポイントのひとつである。

さて、ここに一枚のCDがある。纐纈歩美『バラーディスト(Balladist)』(写真)。纐纈は「こうけつ」と読む。これはなかなか読めない。2014年11月のリリース。纐纈歩美のNYシリーズ第2弾である。ちなみにパーソネルは、纐纈歩美 (as), David Hazeltine (p), David Williams (b), Lewis Nash (ds)。

実に良い、実力派のリズム・セクションがバックに控えている。さすが日本のレコード会社。纐纈は素性の良い、美形の女性アルト奏者である。普通にジャズ盤を制作し、効果的に宣伝すれば絶対に売れる。売れるためにはしっかりとした、名のあるジャズメンがバックをサポートする必要がある。そうしないとジャズ評論家が宣伝してくれない。

そういう場合、バックに優れたジャズ・ミュージシャンが控えている割に、フロントの主役がイマイチ、という腰砕けな失敗企画盤の多々ある。そういう失敗盤は、楽器は鳴っていないし、基本テクニックはなおざりな場合がほとんど。冒頭の1曲目にして、以降、聴く気が無くなる。
 

Kouketsu_balladist

 
この纐纈歩美の『バラーディスト』は、その懸念漂う危険な盤である。なんせ、全編、バラード曲、バラード演奏で占められている。バラード演奏は難度が高い。スローなテンポでスローな演奏を展開する。テクニックが粗雑なら全く太刀打ち出来ない。

そして、スローなテンポでスローなフレーズを吹き回していく。楽器が朗々と鳴らないことには、吹き上げるフレーズが目立たない。楽器が鳴らないことには、何を演奏しているのか、聴き分けることが辛くなる。楽器が鳴ってこそ、演奏されるフレーズがクッキリと浮かび上がるのだ。

さて、この纐纈歩美のバラード集はどうか。結論から言うと「及第点」。諸手を挙げての優秀盤とまではいかない。でも、そのチャレンジ精神と弛まぬ努力は素晴らしい。5点満点中、3.75点。ちょっと甘くて4点。あと一息で優秀盤である。

冒頭の「Autumn In New York」を聴けば良く判る。基本テクニックは優秀。そして、アルトは朗々と鳴っている。大健闘。これは大丈夫。失敗企画盤では無い。大健闘の及第点。バックのリズム・セクションが実に心地良いバッキングを繰り広げる。この冒頭の1曲だけで、以降の演奏の素性の良さが窺い知れる。

ただ、全編バラード曲、バラード演奏のみの展開。途中、少しずつマンネリズムが顔を出す。ちょっと平板な印象がする楽曲もあるにはあるのが「玉に瑕」。基本テクニックは優秀、楽器も鳴っている。後は、フレーズを展開する時の「歌心のバリエーション」だろう。歌心のバリエーションの豊かさ、深さが演奏の流れに「メリハリ」を付ける。

もう少しだ。頑張れ纐纈歩美。全編バラード曲、バラード演奏のみの企画盤に果敢にチャレンジして、一定の成功を収めたことは素晴らしいことだ。さらに精進して、2〜3年後、この全編バラード曲、バラード演奏のみの企画盤の第2弾を出して欲しい。今から、その第2弾に明るい期待が持てる、そんなこの纐纈歩美の『バラーディスト』である。

 
 

震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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