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2015年4月18日 (土曜日)

日本男子もここまで弾く・6

このアルバムは、かなり早い時期に聴いている。ジャズ者初心者の頃、ジャズを聴き初めて3年目位に、このアルバムを入手している。そして、このアルバムを聴いて、日本人として、なんか少し誇りを感じた思い出がある。

もともと、このアルバムを入手するに至った同期は、日本人ピアニストがリーダーの純日本人構成のジャズ・トリオだということ、そして、収録曲の2曲目に、ビートルズの「Michelle」のカバーが入っていることだった。ジャズを聴き始めて、個人的に、まだまだ日本人として、ジャズ演奏というものに引け目を感じている頃である。

そのアルバムとは、佐藤允彦『PALLADIUM(パラジウム)』(写真)。「允彦」=「まさひこ」と読む。1969年3月の録音。ちなみにパーソネルは、佐藤允彦 (p), 荒川康男 (b), 富樫雅彦 (ds)。当時の日本人ジャズメンの最高どころが集結した、純日本人構成のジャズ・ピアノ・トリオである。

荒川康男のベースの素晴らしさは、それまでの和ジャズの諸作を通じて既に知っていた。富樫雅彦については、1970年1月、不慮の事故で脊髄を損傷し下半身不随になってからの演奏しか、当時は知らなかった。

不慮の事故の前の往年の富樫のフル・ドラムを聴いたのはこのアルバムが初めてであった。不慮の事故の後、再起した富樫のドラミングの凄さは、彼のリーダー作の何枚かを、あの大学の近くの「隠れ家のような優雅な喫茶店」で聴かせて貰って、十分に体験していた。しかし、実はこのアルバムを聴くまでは、僕は佐藤允彦のピアノを知らなかった。
 

Palladium

 
しかし、そんな日本人ジャズメンとして、素晴らしい成果を残していたベースの荒川、ドラムの富樫がバックに控えてのピアノ・トリオである。恐らくはこのアルバムは素晴らしい内容なんだろうと、容易に想像が付く。

冒頭の「Opening」での、現代音楽の様な、静謐で硬質でパーカッシブな音の響きを聴くだけで、このトリオ盤は「只者では無い」という事に気付く。この30秒弱の短い演奏だけで、このトリオのレベルの高さを感じることが出来る。この演奏の雰囲気は、ヨーロピアン・ジャズ。

続く「Michelle」のカバーが凄い。お馴染み、レノン=マッカートニーの名曲であるが、この甘い甘いエキゾチックな名曲を、現代音楽風の限りなくフリーに近い、モーダルなジャズでアレンジ、演奏し疾走する、このトリオ演奏は特筆に値する。日本人が演奏する、世界レベルの演奏。聴いていて、思わず身を乗り出し思わず集中する。

他の曲は全て佐藤允彦のオリジナル。これがまた良い。当時、佐藤27歳、富樫28歳、荒川29歳。若手から中堅どころになりつつある、演奏家としても充実した時代。それまで、日本では絶対的存在であった、アフロ・アメリカンが奏でるファンキーなジャズや才人の白人が奏でる理知的なジャズとは違う、日本人の知性と感性が創り上げたジャズがここにある。

素晴らしい内容のメインストリームなピアノ・トリオ盤。ジャズ者の皆さんに広くお勧め。アルバムのオリジナル・ジャケットには、木村道弘が描いたイラストを基に、多田進がデザインしたものが用いられた(写真左)。しかし、再発売時、魚の写真を使用したジャケットに差し替えられた時代もある(写真右)。

僕が入手した盤は、肴の写真ジャケットのもの。いまでも、『PALLADIUM(パラジウム)』と言えば、この肴のジャケットのイメージが強い。困ったもんだ(笑)。

 
 

震災から4年1ヶ月。決して忘れない。まだ4年1ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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