ピアノ・トリオの代表的名盤・45
まず、ジャケットが良い。高速道路の標識のようなデザイン。そこに、トリオ名とアルバム・タイトルがあしらわれている。一言で言うと「格好良い」。スッキリ格好良いジャケットに惚れ惚れする。ジャズにおいて、ジャケットが優れているアルバムに駄盤は無い。
このアルバムは、The Great Jazz Trio『Milestones』(写真左)。1970年代後半、一世を風靡したピアノ・トリオ、グレート・ジャズ・トリオのスタジオ録音盤。1978年4月5日の録音。パーソネルは、当然、Hank Jones (p), Ron Carter (b), Tony Williams (ds)の3人。
収録曲は以下の通り。有名なジャズ・スタンダード曲から、ミュージシャンズ・チューンの玄人好みの曲から、ボサノバの名曲まで、耳当たりの良い曲がズラリと並ぶ。うるさ型のジャズ者ベテランの型からすれば、この収録曲を見ただけで、通り一遍のどこにでもあるような、ジャズ・スタンダードをピラピラ弾き回すピアノ・トリオの企画盤を想起して、この盤はパスするだろうな。
1. Milestones
2. Lush Life
3. Wave
4. Eighty-One
5. I Remember Clifford
6. Hormone
7. Mr. Biko
しかし、このグレード・ジャズ・トリオは、そんな通り一遍な、どこにもであるようなトリオ演奏はしない。冒頭の「Milestones」を聴けば、それが良く判る。有名なコード・イントロのテンションからして、普通のトリオ演奏とは違う。トニーのドラミングのテンションが半端では無い。そこに、ハンクのピアノのコード・イントロが被さる。ハンクのタッチのテンションも半端では無い。
アドリブ部の展開になると、これがまた、創造力豊かな展開に思わず「唸る」。ピアノのタッチは典雅、ドラミングはテンション高く、ベースはガッチリとアドリブ展開の底を支える。このトリオ演奏は「Milestones」の演奏の最高のもののひとつだろう。5分18秒があっと言う間に過ぎ去る。
甘くなりそうな、ボサノバ名曲の「Wave」も凛としていて聴き応え十分。ウェットでベタベタな「I Remember Clifford」も、ピアノ・トリオで、こういうアレンジでやれば、静謐感と繊細感が増して、良い意味でセンシティブな展開に思わず「おおっ」と身を乗り出す。
良いピアノ・トリオ盤です。いままで、唯一、1回だけ見たことがありますが、優秀なピアノ・トリオ盤の紹介に、この盤の名前が挙がることは殆どありません。有名なジャズ・スタンダード曲から、ミュージシャンズ・チューンの玄人好みの曲から、ボサノバの名曲まで、耳当たりの良い曲で占められているからでしょうか。
でも、それは「聴かず嫌い」としか言いようがありません。やはり、ジャズは自分の耳で聴いて、自分の感性で判断することが大切ですね。
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