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2015年3月14日 (土曜日)

早春のユーミン盤はこれ。

我が千葉県北西部地方、今年の春は歩みが遅い。3月に入ってもなかなか暖かくならない。関西地方に比べると関東地方は春がやや遅い。大阪出身の僕としては、どうにもこの春の遅さが何年経っても合わない。春の選抜高校野球が始まっても、関東地方では雪が降る年があるもんなあ。

それでも、日は長くなり、陽射しのタップリになり、春はもうすぐそこまで、という感じになってきた。いわゆる「早春」の季節である。朝夜は冷えるが氷点下にはならず、日中は10度を超えると「早春」である。本格的な春はまだ先だが、家の周りのそこかしこに「春のサイン」が見え隠れする。

1970年代Jポップの中で、そんな「早春」の季節に合うアルバムは、と問われれば、僕は、荒井由実『MISSLIM(ミスリム)』(写真左)を挙げる。僕にとって、この『MISSLIM』は高校時代からずっと「早春」のアルバムなのだ。

『MISSLIM』は、荒井由実のセカンド・アルバム。1974年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、荒井由実 (vo,p), 松任谷正隆 (key), 林立夫 (ds,per), 細野晴臣 (b), 鈴木茂 (el-g), 斉藤ノブオ (per)、辺りが中心メンバー。山下達郎がコーラスアレンジを担当している。

特に、この『MISSLIM』のLP時代のA面を占める5曲が絶品である。「生まれた街で」「瞳を閉じて」「やさしさに包まれたなら」「海を見ていた午後」「12月の雨」。ずっと、この5曲は「早春」の季節にピッタリだと思っている。まあ、A面のラストが「12月の雨」なのはご愛嬌。

特に歌詞の世界が絶品である。「生まれた街で」の「街角に立ち止まり 風を見送った時、季節がわかったよ」の一節には聴く度に痺れる。「瞳を閉じて」の「風がやんだら 沖まで船を出そう、手紙を入れた ガラスびんをもって」の出だしはまるで小説の出だしのようだ。
 
 
Misslim  
 
 
続く「やさしさに包まれたなら」の「カーテンを開いて 静かな木洩れ陽の、やさしさに包まれたなら きっと、目にうつる全てのことは メッセージ」の一節については、これは絶対に書けそうで書けないなあ、と脱帽。「海を見ていた午後」は「山手のドルフィンは 静かなレストラン、晴れた午後には 遠く三浦岬も見える」と、まるで写実主義の絵画を見るようだ。

そして、ラストの「12月の雨」の歌詞が最高に良い。この曲の歌詞は全てが良いが、特に「時はいつの日にも 親切な友達、過ぎてゆく昨日を 物語にかえる」のフレーズには、もう「参りました」である。まあ、これはタイトルを見る限り「冬」の歌なのだが、「早春」のこの季節に聴いてもなかなかいける。

そして、このアルバムの全ての楽曲において言えることは、アレンジが秀逸なこと。特にキーボードとベースの使い方が抜群。素晴らしくセンスが良い。キーボードは松任谷正隆、ベースは細野晴臣。パーソネルを見て納得。このアルバムのアレンジはヘッド・アレンジが中心だったのことだが、ひらめきとセンスが素晴らしい。

この『MISSLIM』のLP時代のB面、CDでいう6曲目以降は、その歌の世界がちょっと歌謡曲に寄っている感じがして、LP時代はあまり聴かなかった。が、聴き耳を立ててみると、これがなかなか良い。恐らくはアレンジが良いのだろう。今ではCDであることもあって、冒頭の「生まれた街で」から、ラストの「旅立つ秋」まで一気に聴き通してしまう。

このユーミンの『MISSLIM』は、僕にとっての「早春」のユーミン盤。我がバーチャル音楽喫茶『松和』では、昼下がりの「ジャズの合間の耳休め」として、季節のヘビロテ盤になっています。
 
 
 

震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。決して忘れない。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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