市原ひかりの意欲的な企画盤
アメリカの文豪、F.スコット・フィッツジェラルドの小説で不朽の名作として人気の高い『ザ・グレート・ギャツビー』、邦題『華麗なるギャツビー』。この『華麗なるギャツビー』からインスピレーションを得て制作されたコンセプト・アルバムを聴く。
そのアルバムとは、市原ひかり『Dear Gatsby(親愛なるギャツビー)』(写真左)。昨年の10月のリリース。ちなみにパーソネルは、市原ひかり (tp, flh), 宮川純 (p, rhodes, syn), 清水昭好 (b), 横山和明 (ds), デイビッド・ネグレテ (reading)。「朗読」が入っているのが興味をひく。
冒頭の「You must know Gatsby」を聴けば、このアルバム全体の雰囲気が窺い知れる。ハウスな雰囲気がクール。小説の一節の朗読がエキゾチック。雰囲気はヒップホップなどを融合させた様な、クールで緩やかなリズム&ビートに乗って、抑制の効いた、ブラスの響き豊かに、市原のトランペットが朗々と鳴る。
「朗読」が、知的なラップの様に効いている。幽玄な響きを湛えるトランペット。クールで繊細なリズム・セクションがトランペットを浮き立たせる。メリハリの効いた水墨画を観るような、幽玄な音世界。落ち着いた、抑制の効いたビート。朗々となるトランペット。緩やかに流れる河の様に、悠然とインプロビゼーションが展開されていく。
全編に渡って、雰囲気のある楽曲が詰まっている。そして、それぞれの曲に施されたアレンジがクールだ。市原を始めとする各メンバーの作曲能力とアレンジ能力の高さをまざまざと感じる。それぞれの楽曲に才能の煌めきを感じる。
決して、バリバリに吹きまくる、バッシャバッシャ叩きまくる、熱い熱いジャズでは無い。どちらかと言えば、真逆のクールでセンシティブで、音の広がりと抑制の効いたビートで聴かせる新しい感覚のジャズ。実に個性的だ。次作が楽しみになる、そんなクールなニュー・ジャズ。
震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。決して忘れない。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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