懐かしの『My Aim Is True』
1970年代後半、ロックは急速に商業化、プログレッシブ・ロックは、ほとんどのバンドが創造力を失い、一流のミュージシャンは売上を追求すべく、売れ筋の音作りに邁進した。それでもロックは売れに売れ、音楽産業のドル箱的なジャンルになっていた。
そんなロックの商業化、産業化に異を唱え、ロックの原点回帰のムーブメントが起こった。パンク・ロックである。1970年代後半は、パンク・ロックのムーブメントをベースに、原点回帰のシンプルでメッセージ性のあるロックが台頭した。ロック界は、このパンク・ロックのムーブメントと、商業ロック化したとされるAORのトレンドに二分された。
さて、1970年代後半のロックについては、あまり能動的にアルバムを聴いた記憶が無い。大学受験の時代だったし、創造力を失ったプログレはもはや興味が無かった。しかし、大学に入って、持つべきは友である。麻雀を覚えて、麻雀友達が出来、徹夜麻雀のBGMに、この1970年代後半のトレンド・ロックをかける輩がいた。
その輩のおかげで、1970年代後半のパンク・ロック、原点回帰のシンプルでメッセージ性のあるロックの殆どを聴くことが出来た。やはり「持つべきは友」である。ただ、困ったことに、この頃のロックのアルバムを聴くと、記憶の中に甦るのが、ほとんど麻雀に興じているシーンばかりなのだ(笑)。
そんな麻雀のBGMの中で、これは格好良いなあ、と感心したアルバムがある。Elvis Costello『My Aim is True』(写真)である。1977年7月にリリースされた、エルヴィス・コステロのデビュー・アルバムである。このアルバムは、大学に入ってから、1年遅れくらいで聴いた。
音的にはシンプルでブリティッシュ。もともと英国ロック好きなので、このアルバムの音作りにはグッと心惹かれた。シンプルなギター・バンドの音をベースに、スタイリッシュなコステロのボーカルが格好良く響く。この頃のコステロは「怒れる若者」でパンクしており、迫力があってテンションの高い演奏は実に魅力的でした。
楽曲としては収録されたものは全て魅力的だが、やはり、デビュー・シングルとして先行発売された「レス・ザン・ゼロ」や、リンダ・ロンシュタット等にカバーされたコステロの代表曲、叶わぬ恋を歌った切ないラブ・ソング「アリスン」が良い出来だ。
このアルバムを今の耳で聴いていると、どっかで聴いた歌い方、どっかで聴いたフレーズに多々行き当たる。1980年代以降のロック・ミュージシャンへの影響大やったんやなあ、ということが推察される。数々の後世のミュージシャンが影響されるだけ、このアルバムには魅力的で格好良い楽曲がギッシリと詰まっている。
1970年代後半、大学時代、このアルバムがかかると徹夜麻雀は休憩に入る。麻雀をやりながらBGMとして聴けるアルバムでは無い。麻雀の手を止めて休憩しながらジックリと耳を傾ける価値のある、シンプルでスタイリッシュで格好良いパンク・アルバムなのだ。
震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。決して忘れない。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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