1970年代ボブ・ジェームスの集大成 『H』
ボブ・ジェームスのアナログ録音の雰囲気満載なアルバムの最後だろう。1980年のリリースになる。Bob James『H』(写真左)。リーダーでのスタジオ録音作の8作目。8作目だからアルバム・タイトルはアルファベットの8番目の「H」。タイトルが「H」で、ジャケットが「HOT DOG」。ちょっと無理があるなあ(笑)。
1980年と言えば、フュージョン・ジャズのピーク。トレンドはソフト&メロウ。この「H」は、ボブ・ジェームス流のソフト&メロウな盤である。いわゆる「ボブ・ジェームスの考えるソフト&メロウ」である。
その典型的な演奏が1曲目の「Snowbird Fantasy」。アコースティックなボブ・ジェームスが素晴らしい。アレンジも秀逸。従来、ボブ・ジェームスはブラスのアレンジが秀逸なのだが、この「Snowbird Fantasy」では更に秀逸。アナログ録音なブラス・アレンジの集大成。
2曲目「Shepherd's Song (From Haute-Auvergne)」以降、このアルバムには、アコースティックなボブ・ジェームス楽団の音が印象的に詰まっています。リズム・セクションはエレクトリックなんですが、このエレクトリックなリズム&ビートに乗って、アコピやアコギが乱舞します。このアコピやアコギの音が前面に押し出される、フィーチャーされるアレンジはさすがボブ・ジェームス。
ゲスト・ミュージシャンも、このボブ・ジェームスの秀逸なアレンジに乗って、いつになく吹きまくり、弾きまくる。Glover Washington,Jr.の流麗なソプラノサックス、そして、Hiram Bullockの飛び道具的なエレギが特に印象に残る。
そして、何よりも、このアルバムでのボブ・ジェームスのアコースティック・ピアノの音に耳を奪われる。もともと純ジャズな尖ったピアニストだったボブ・ジェームスなんですが、クロスオーバー・ジャズからフュージョン・ジャズに転身していく中で、フェンダー・ローズやシンセサイザーの使い手として認知され、アコピ弾きのボブ・ジェームスは忘却の彼方へ。
しかし、このアルバムでは、ボブ・ジェームスのアコピが際立っている。この8枚目のリーダー作『H』は、ボブ・ジェームスのアコピを愛でることのできる優秀盤である。ボブ・ジェームスのアレンジについても、このアコースティック・ピアノを際立たせるアプローチがそこかしこに施されている。
1970年代ボブ・ジェームスの集大成的なアルバムです。リリース年も1980年と節目の年。アナログ録音の雰囲気満載なアルバムの最後を飾るアルバムで、次作の『Sign of the Times』からはデジタルな録音環境に挑んでいくことになります。
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