最近のトラックバック

« ブッカー・リトルとの初邂逅 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤・44 »

2015年3月25日 (水曜日)

日本男子もここまで弾く・3

このアルバムは定盤中の定盤だろう。山本剛『Misty』(写真左)。1974年8月7日の録音。ちなみにパーソネルは、山本剛(p), 福井五十雄(b), 小原哲次郎(ds)。純日本メンバーのピアノ・トリオ。いわゆる「Made in Japan」である。 日本のジャズ・レーベル、Three Blind Mice(TBM)からのリリース。

冒頭の「Misty」でのピアノ・タッチが、山本剛の個性の全てを物語る。硬質で金属音に近い、尖った右手のタッチ。山本の右手は決してテクニックに走らない。日本人独特の「間」の感覚を活かしたアドリブ・フレーズ。そして、その右手に沿うように、インプロビゼーションのベース部分を支える右手のブロックコード。

美しい旋律を持つこの「Misty」をバリバリとポジティブに弾き進めるのは「無粋」というもんだ。「Misty」を演奏させたら山本剛の右に出る者は居ないと言いたい。ウィントン・ケリーやレッド・ガーランドと比較しても、この山本剛の独特の「間」の感覚を活かしたアドリブ・フレーズは優れている。

2曲目の「Blues」の小気味よいスイング感にハッとする。雄弁に語る右手。硬質ではあるが、コロコロと転がる様にフレーズを紡いでいく。左手はその右手のフレーズにアクセントをつけ、次の右手のフレーズへと誘うガイド役を担うブロックコード。適度な疾走感と爽やかな切れ味の右手のタッチが耳にいつまでも残る。
 

Tsuyoshi_yamamoto_misty

 
3曲目は有名スタンダード曲「Yesterdays」。僕の大好きなスタンダード曲のひとつ。硬質でクリスタルな山本のタッチが「Yesterdays」独特のフレーズをくっきりと浮き立たせる。そして、ふと気がつく。福井のベースと小原のドラムの充実したサポートがあっての山本のアドリブ・フレーズなんだということに。

優れたピアノ・トリオの条件は、もちろん主役のピアノの素晴らしさはもちろんのこと、リズム・セクションを司るベースとドラムの優秀性も必須の条件だ。主役のピアノの個性を短時間で汲み取り、その主役のピアノを惹き立てるリズム&ビートを供給するリズム・セクション。そういう観点では、このアルバム『Misty』での福井のベースと小原のドラムは合格ラインを大きく上回る。

74年度SJジャズ・ディスク大賞最優秀録音賞を受賞した、録音の良さも特筆したい。もともとTBMレーベルは音が良い。その音の良いTBMレーベルのアルバムの中でも、この山本剛『Misty』は特別に音が良い。抜けが良く、響きが典雅。音の輪郭がクッキリしているが決して耳につかない、どころか耳に優しい。

良いピアノ・トリオ盤です。ジャズ者の皆さん全てにお勧め。山本剛のピアノの個性は唯一無二。米国のピアニストの物真似では全く無い。日本人として誇りに感じる山本剛のピアノ。余談になるが、この山本剛『Misty』は、TBMレーベルのベストセラー第1位である。

 
 

震災から4年。決して忘れない。まだ4年。常に関与し続ける。決して忘れない。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ブッカー・リトルとの初邂逅 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤・44 »

コメント

私も大好きなピアニストの一人です。^^

まだCDが世に出る前、TBMのレコードが日本フォノグラムから発売されたことがありましたが、それまでの「東芝カッティング」→「ビクターカッテイング」へ変わるのでその音の変化に注目したものでした。

当時のレコードではこの2社のカッティングにはおおきな方向性の違いがありましたね。おおまかにいえば東芝カッティングのほうが「寒色・硬質系」でビクターが「暖色系」?という印象でした。

最近の「RVGマスタリング」は私は少し疑問を感じていますが(~o~)
まあそもそもマスターテープの経年変化もありますし、オーディオ機器の進歩?もあり、「オリジナルサウンド」って何?なんて思ったりもしますけど、このごろになって古いジャスを聞くなら昔のアルテックの「DIG」をまたほしいなあ、なんて思っています。(笑)

こんばんは、「おっちゃん」さん。松和のマスターです。
「東芝カッティング」と「ビクターカッテイング」、懐かしいですね。
LP時代、確かにそういう感覚がありましたね。
 
そして、アルテックの「DIG」ですか。1970年代当時、欲しかった
スピーカーでした。ジャズに合うんですよね。しかし、僕は何故か
YAMAHA NS-10Mに走ってしまいました(笑)。
 

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/80793/59404332

この記事へのトラックバック一覧です: 日本男子もここまで弾く・3:

« ブッカー・リトルとの初邂逅 | トップページ | ピアノ・トリオの代表的名盤・44 »

リンク

  • 松和 / ジャズ・フュージョン館
    ホームページを一新しました。「ジャズ・フュージョン館」と「懐かしの70年代館」の入り口を一本化し、内容的には、当ブログの記事のアーカイブを基本としています。  
  • 松和 / 懐かしの70年代館入口
    更新は停止し、新HPへ一本化中。新しいブラウザーではレイアウトが崩れたりと申し訳ありません。
2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

カテゴリー

常連さんのブログ

  • 70年代思い出の名曲
    music70sさんのブログ。タイトル通り、定期的に、70年代の懐かしのアルバムを紹介されています。なかなか、マニアックなアルバム選択、曲選択に、思わずニンマリしてしまいます。
  • いそいそジャズ喫茶通い
    yuriko*さんのブログ。都内のジャズ喫茶への訪問記録。ジャズと言えば『ジャズ喫茶』。敷居が高くて、と思っている方々に是非読んで頂きたいブログ。実際の訪問記録ですから読んでいて楽しく、実際の訪問時の参考になります。
無料ブログはココログ