「ロックの原点」的な名盤・1
37年ぶりに、このアルバムを聴いた。そのアルバムとは『The Velvet Underground & Nico』(写真左)。1966年に録音されたロックの名盤である。
しかし、リリース当時は商業的成功には恵まれなかったが、「このアルバムは売れなかったが、聞いたやつはみんなミュージシャンになった」という、リーダー格のルー・リードの名言が、このアルバムの名盤度合いを物語っている。
ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド (The Velvet Underground) は、1964年に結成されたアメリカのロックバンド。ヴェルヴェッツという略称で呼ばれることもある。このロックバンドが創造したこのアルバムは、ロックの名盤中の名盤である。
僅か4日間、予算3,000ドル未満で制作されたアルバムだが、このアルバムの内容は「ロックの原点」として傾聴に値する。まあ、ロックもジャズもアルバムの内容は、別に予算などに左右されることはないのだ。加えて、作成期間の短長にも左右されない。
このアルバムの優秀性は、ロックとして演奏はシンプル、リズム&ビートはタイトで躍動的、各楽器のテクニックはそこそこ優秀ではあるが、テクニックよりもエモーショナルなソロが印象的。ロックのバンド演奏とはかくあるべし、と心から思わせる、シンプルでダイレクトにイメージが伝わる演奏がとにかく素晴らしい。
歌詞の世界も良い。ロックしている。退廃的だとかエグいとか言われるが、僕はそうは思わない。実にロックらしい歌詞だと思っている。品行方正な歌詞が良いとも思わないし、好きだ惚れた腫れたというラヴ・ソングな歌詞がロックらしいとも思わない。エモーショナルでダイレクトにイメージが伝わるところが大切だろう。
37年ぶりに、このアルバム『The Velvet Underground & Nico』を聴いて、やはりこのアルバムは「ロックの原点」的なアルバムだったんだなあと再認識。ビートルズの『Revolver』が1966年、ローリング・ストーンズの『Aftermath』が1966年、ビーチ・ボーイズの『Pet Sounds』が1966年。そして、この『The Velvet Underground & Nico』が1966年。
この1966年〜1967年のロック名盤が、振り返れば「ロックの原点」的な名盤だったのだろうと思う。その後、サイケデリック、フラワー・ムーブメントを経て、1970年代前半には商業ロックへと姿を変え、最後は,1970年代後半のパンク・ムーブメントで、ロックは終焉を迎えた、と僕は思っている。
ロックとはなんだったのか、という声が聞こえるが、まずは、この「ロックの原点」的な歴史的名盤を聴いて感じることが一番だろう。そして、この『The Velvet Underground & Nico』は、そんな「ロックの原点」的な歴史的名盤の一枚として、その存在感は薄れることは無い。
最後に余談になるが、アルバム・ジャケットはアンディ・ウォーホルの手なるデザイン。バナナの絵がど真ん中に陣取っており、そんなバナナの絵の印象から「バナナ・アルバム」とも呼ばれる。
このバナナの絵の端には「Peel Slowly and See(ゆっくりはがして、見ろ)」と書かれている。LP時代の初期の盤では、このバナナの絵はバナナのステッカーで、このバナナのステッカーを剥がすととバナナの果肉の絵が出てくる、という実に凝ったアートなものだった。
そして、このアルバムの内容自体も、今の耳にも音は全く古びていない。単純に格好良い、シンプルなロックである。リリース当時はロックが最先端をいくアートの時代。今でも「ロックはアートであるべし」という要請に確実に応えているアルバムである。
震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 小粋で洒脱なギター・トリオ盤 | トップページ | チェンバースの初リーダー作 »
コメント