小粋で洒脱なギター・トリオ盤
派手では無いが、いぶし銀の様な、小粋で洒脱なギター・トリオ盤がある。最近のお気に入り盤の一枚で、ちょくちょく引っ張り出しては聴いている。
そんな小粋で洒脱なギター・トリオ盤とは、The Modest Jazz Trio『Good Friday Blues』(写真左)。トリオ名の「Modest」の意味は「謙遜深い、地味な、控えめな」といったもの。ちなみに具体的なパーソネルは、Jim Hall (g), Red Kelly (b), Red Mitchell (p)。1960年4月の録音になる。
パーソネルを見渡してみると、不思議なことに気が付く。ベーシストと認識していたレッド・ミッチェルがピアノを弾いてるのだ。どうも、元々はピアノストだったとのこと。後にベーシストに転向したのだとか。しかし、このレッド・ミッチェルのピアノがとても味がある、モダンなピアノなのだ。
ドラム無しのトリオ編成。ドラムが無いと、これだけ控えめながら小粋で洒脱なジャズになるんだなあ、と変に感心してしまう。アルバム全体の雰囲気はジャズ・ブルース。シンプルではあるが攻撃的なホールのギターに、ケリーのベースとミッチェルのピアノが効果的に絡んで、実に雰囲気あるモダン・ジャズな演奏に仕上がっているのだ。
米国西海岸ジャズの名手3人のドラムレス・トリオ。ほど良く抑制が効いて、それぞれのアドリブ・ソロはシンプルではあるがテクニック優秀、ブルージーな歌心がしっかりと漂い、適度にリラックスしているところが実に好ましい。こういうジャズを「小粋なジャズ」と言うんでしょうね。
収録された曲もなかなか洒落た曲ばかりで、スタンダード曲も実に渋い選曲。さすがにトリオ名が「The Modest Jazz Trio」。選曲自体が「謙遜深い、地味な、控えめな」曲ばかりなんですが、これがこのトリオの手にかかると、味なアレンジと相まって、実にアーティスティックな演奏に仕上がるのですから、不思議なもんです。
決して有名盤ではありません。ジム・ホールの紹介コーナーでも、代表盤の中には入らないでしょう。でも、これ好盤です。とにかくアルバム全編に渡って、テクニックに優れ、アレンジに優れ、その上に「抑制の効いた、小粋で洒脱な」なソロが展開されるのだ。
「なぜ水辺に鳥なのか」。米国西海岸ジャズの有名レーベルである「パシフィック・レーベル」に良くある、意味の分からないジャケットがちょっと玉に瑕ですが、小粋で洒脱な内容に免じて大目に見ましょう。良いアルバムです。
震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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