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2015年2月15日 (日曜日)

シーナ&ロケッツのシーナ逝去

シーナ&ザ・ロケッツのボーカリスト、シーナが亡くなった。享年61歳。以前から体調不良とは聞いてきたが、あまりに早すぎる逝去である。最近、いよいよ同世代のミュージシャンが鬼籍に入る時代になりました。寂しい限りです。

シーナ&ザ・ロケッツは、元サンハウスのギタリスト鮎川誠が妻・シーナと共に福岡から上京し結成。1978年シングル『涙のハイウェイ』で、デビュー。1979年、アルファレコードへ移籍し、YMOの協力の下、『真空パック』(写真左)をリリース。シングル・カットされた「ユー・メイ・ドリーム」(写真右)が、JALの「マイ・ハート・キャンペーン」のCMのタイアップ曲となり、ブレイクを果たした。

確か、シーナ&ザ・ロケッツは大学時代に我が大学の学園祭に来た。まだ「ユー・メイ・ドリーム」でのブレイク前だったと記憶している。彼らのライブ・パフォーマンスは凄かった。鮎川誠のエレギ・テクニックの凄さ、シーナのボーカルの凄さ。ただただ唖然として彼らのパフォーマンスを聴いていた記憶がある。「なんでこんな奴らがマイナーなんや」。

ほどなくして「ユー・メイ・ドリーム」でブレイク。思いっきり溜飲を下げたのを覚えている。まだ、ブレイク前のシーナ&ザ・ロケッツを学園祭に呼んだ大学、として、シーナ&ザ・ロケッツのことを、結構、あちこちに自慢げに語っていたなあ。

それ以来、ずっと気にしつつ、昔のアルバムを時折聴きながら、未だ現役バンドで元気に唄う姿を見て来ただけに、今回のシーナの訃報は実に残念です。年齢的には5歳年上になるんですが、感覚的には同世代だと思っていたので、とても寂しいことでした。

ということで、今日はシーナ追悼ということで、シーナ&ザ・ロケッツのセカンドアルバム『真空パック』を繰り返し聴いていました。僕の大学時代にヘビロテだったロック盤でもあります。この『真空パック』は、1979年10月25日のリリース。ヒット曲「ユー・メイ・ドリーム」が2曲目に収録されていたこともあり、ヒット・アルバムとなりました。
 

Sheena_the_rokkets_sinku_pack

 
YMOの協力の下のアルバムなので、収録された曲の雰囲気は、半分ほどが「テクノ・ポップ」風のロック。半分が「シンプルなロックンロール」。レコード会社の思惑として「売らんが為」に、テクノ・ポップ風のアレンジを前面に押し出されて、シーナ&ザ・ロケッツの本質である「シンプル・ハードな和製ロックンロール」色が後退するのでは、と危惧していましたが、そんなことはなかった。

テクノ・ポップ風のアレンジの中でも、シンプル・ハードな和製ロックンロールな雰囲気はしっかりと残っていて、今の耳で聴いても、1曲聴けば、これはシーナ&ザ・ロケッツの個性、シーナ&ザ・ロケッツの音と判ります。それだけ、鮎川誠のエレギとシーナのボーカルが、突出した個性を振りまいていたということですね。

収録曲はどれもが、完璧なロック・チューン。テクノ・ポップに迎合しているところは微塵も無い。音とビートが無機質でYMO的なんだが、この無機質なアレンジを上手く活用して、今の耳にもモダンに響く、個性的な、シーナ&ザ・ロケッツならではのロックロール・チューンに仕上がっている。だからこそ、今の耳にも十分に鑑賞に耐えるんでしょう。

テクノ・ポップを逆手に取った、したたかなロックアルバムとして、このシーナ&ザ・ロケッツのセカンドアルバム『真空パック』は傾聴に値する好盤でしょう。

女性ボーカリストのロックバンドは商業的に成功したケースは希少なんですが、このシーナ&ザ・ロケッツは、1978年結成当初よりバンド活動に一切のブランク無く、積極的に全国各地でライブ・ツアーを行ない、2013年で結成35周年を迎えました。そんな中での、今回のシーナの逝去。実に残念でなりません。ご冥福をお祈りします。

 
 

震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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