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2015年2月17日 (火曜日)

マイルスの考えるフリー・ジャズ

とにかく評判の悪いボックス盤である。Miles Davis『The Complete In A Silent Way Sessions』であるが、先ずタイトルが悪い。「Complete」の単語がこのボックス盤についているところがいけないらしい。つまり「看板に偽りあり」ということである。

確かに、このボックス盤は「Complete」を冠するには、ちょっと説得力に欠ける。このタイトルだと、かのエレ・マイルスの名盤『In A Silent Way』の録音セッションで録音された様々な音源を、欠けること無く全てを収録していると思ってしまうではないか。

さて、今日はこのボックス盤のDisc1について語りたい。このボックス盤のDisc1は『キリマンジャロの娘』『ウォーター・ベイビーズ』等にも収録された曲を含む1968年の9月〜11月のセッション集になる。恐らくは、かの名盤『In A Silent Way』は、このDisc1に収録されたセッション辺りからインスパイアされて創られたのではないか、という仮説の下で選曲されたものと推察している。

ちなみに収録された楽曲は以下の通り。6だけが、このボックス盤リリース当時、未発表曲だった。1と2は『キリマンジャロの娘』、3と4は『ウォーター・ベイビーズ』に収録、『サークル・イン・ザ・ラウンド』に収録されていた。

1. Mademoiselle Mabry
2. Frelon Brun (Brown Hornet)
3. Two Faced
4. Dual Mr. Anthony Tillmon Williams Process
5. Splash: Interlude 1/Interlude 2/Interlude 3
6. Splashdown: Interlude 1 (no horns)/Interlude 2 (no horns)
 

The_complete_in_a_silent_sessions

 
確かに、このDisc1の収録された楽曲の雰囲気は『In A Silent Way』にダイレクトに繋がっていく様に感じられる。確かに『In A Silent Way』の音世界は、エレ・マイルスの中でも独特なのだ。どのような経過を経て、あの名盤が創られたのか、いろいろと推論したくなるのはよく判る。確かに、このDisc1に収録された楽曲は『In A Silent Way』の重要な一要素を形成するパーツであることを強く感じる。

というか、このDIsc1の楽曲を聴いていると、クールなフリー・ジャズとはこういう演奏をいうのではないか、という気がしてくる。このDIsc1の楽曲は、どれもがクールでフリーなエレクトリック・ジャズなのだ。本能のおもむくまま、気分次第で吹きまくる、馬の嘶きの様な激情のブログでは無く、必要最低限にシンプルにコントロールされた、モード奏法を昇華させた限りなく自由なメインストリーム・ジャズなのだ。

シンプルにコントロールされてはいるが、このDisc1での演奏は限りなく自由だ。それぞれのソロイストのアドリブ・フレーズは限りなく自由なのだ。この演奏の類は、マイルスの提示した、マイルスの考える「フリー・ジャズ」なのではないだろうか。フリー・ジャズとはいえ、ジャズはクールでなければならない。フリー・ジャズとはいえ、鑑賞に耐えない音楽はジャズとは言えない。そんなマイルスの声が聞こえてきそうな演奏集である。

このボックス盤に収録された楽曲はDSDリマスタリングされたと思われ、音質が非常に良い。評論家筋やベテランのマイルス者の方々から、とにかく評判の悪いボックス盤ではあるが、これはこれで何点か、評価できるところもある。これからマイルスを聴き込んでいこうという向きには、悪くは無いボックス盤だと僕は思う。

 
 

震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

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