ペッパーの初リーダー作 『Surf Ride』
ジャズのアルト・サックス奏者で誰がお気に入りか、と問われれば、僕は「アート・ペッパー」と先ず答える。そう、ジャズを聴き初めて、2年目の頃だったかなあ。僕はこのアルバムを「秘密の喫茶店」のママさんに紹介されて、アート・ペッパーがお気に入りジャズメンになった。
そのアルバムとは、Art Pepper『Surf Ride』(写真左)。1952年3月の録音。アート・ペッパーの初リーダー作である。ちなみにパーソネルは、Art Pepper (as), Hampton Hawes (p), Joe Mondragon (b), Larry Bunker (ds)。アート・ペッパーのアルトのワンホーン作である。
このパーソネルを見れば、この演奏は米国西海岸ジャズであることが判る。録音地はロスアンゼルス。そう、アート・ペッパーと言えば、米国西海岸ジャズのアイドルの一人なのだ。若かりし頃のアート・ペッパーの写真を見れば、確かに「イケメン」。加えて、格好良く流麗なアルト・サックスを吹くのだ。なるほど、アイドルである。
さて、このアルバムの演奏を聴くと、米国西海岸ジャズの特徴と個性がとてもよく判る。良くアレンジされた構成。響きが心地良いユニゾン&ハーモニー。演奏の質は中音域を十分に活かして「軽やか」。アドリブ・フレーズは「小粋で洒脱」。ポップで聴き心地の良いアンサンブル。
このアルバムでのアート・ペッパーの凄みは、アドリブ・フレーズの展開、アドリブ・フレーズの吹き回しにある。お洒落で流麗なアート・ペッパーのアルトが、印象的なアドリブ・フレーズを、躍動感がありながら、鼻歌でも歌うかの様に軽やかに粋に吹き進めていくのだ。 とても素敵なアート・ペッパーのアルト・サックスである。
どうやったら、こんなに印象的なアドリブ・フレーズが吹けるのか不思議なのだが、アート・ペッパーは「アドリブ一発勝負」的な、気合い十分なアドリブ展開が特徴で、そういう意味で、アート・ペッパーは、本能でアルトを吹く、天才型のミュージシャンなのだろう。この『Surf Ride』を聴く度にその意を強くする。
難しいこと言いっこ無し。この『Surf Ride』で、アート・ペッパーのアルトの天才的な吹き回しを聴き、米国西海岸ジャズの特徴と個性を体感して下さい。さすが、米国西海岸ジャズの若手精鋭で固めたバックのリズム・セクションも良好。とても良質な米国西海岸ジャズです。
ジャケット・デザインにも目を見張る(笑)。『Surf Ride』=「波乗り」=黄色ビキニのお嬢さん、的なイラスト・ジャケット。いや〜、飛び切り「アメリカン」ですね。初めて目にした時には「ドン引き」しましたけどね(笑)。凄くチープなイラストなんですが、これがまた、なんだか良い「雰囲気」があるんですね。良いアルバムです。
★震災から3年10ヶ月。決して忘れない。まだ3年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ビッグバンド・ジャズは楽し・36 | トップページ | まだまだ「イエス」は眠らない »
コメント