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2015年2月24日 (火曜日)

ガーランド者の御用達盤です。

不思議と一定間隔で聴きたくなるジャズ・ピアノで、もうかれこれ、35年以上聴き続けている。スタイルとしては実にシンプル。重厚な左手のブロックコードとコロコロと転がる様な歌心満点の右手のシングルトーン。この人のピアノの個性はこれだけである。ハードバップ以降、ジャズは様々な演奏形態がトレンドになったが、この人のスタイルはハードバップに適合するだけ。

この人とは、レッド・ガーランド(Red Garland)。久々にガーランドのピアノが聴きたくなって、彼のアルバムの中で、一番、渋いアルバムを選んでみた。Red Garland『When There Are Grey Skies』(写真)である。1962年10月の録音。ちなみにパーソネルは、Red Garland (p), Wendell Marshall (b), Charlie Persip (ds)。ガーランドお得意のトリオ編成。

録音当時のジャズの演奏形態のトレンドは、モード奏法とファンキー・ジャズ。しかし、ガーランドはお構いなし。いつも通りのスタイル、ハードバップな演奏をベースに、重厚な左手のブロックコードとコロコロと転がる様な歌心満点の右手のシングルトーンで、ピアノを弾き紡いでいく。

冒頭の「Sonny Boy」の地味さにちょっと驚く。しかし、ガーランドのピアノは、地味な内省的な演奏でありながらも、実に魅力的な響きを持って僕達の耳を奪う。思いっきり聴き耳を立てて愛でるガーランドの内省的なピアノ。間を活かしたシンプルな展開。

一聴すると「なんだこの地味な演奏」と思うのだが、聴き進めるうちに、しっくり、じんわりとくる。この1曲目の「Sonny Boy」の存在が心憎い。
 

When_there_are_grey_skies

 
ガーランドの奏法、重厚な左手のブロックコードとコロコロと転がる様な歌心満点の右手のシングルトーンは、あまりにもシンプルで、曲の旋律、アドリブ・ラインがとても判り易いので、一部では「カクテル・ピアノ」とか「イージーリスニング」と揶揄されたりもするが、ちゃんと聴くと、どうしてどうして、しっかりとジャズしているのだから、ガーランドのピアノは全く隅に置けない。

巷のジャズ者の方々は、このアルバムの3曲目の「St. James Infirmary(セント・ジェームス病院)」が絶品とする。確かに良い演奏ですね。理屈抜きで、こういうジャズ・ピアノ・トリオの演奏が心地良いです。ブルース・フィーリングが色濃く漂い、そこはかとなくファンキー。哀愁を帯びたマイナーな旋律とアドリブ・ラインで、その演奏は実に内省的。

これがガーランドの演奏か、と思わず感心してしまいます。しっかり聴くと、右手のシングルトーンの手癖や左手のブロック・コードの叩き方の癖が紛れもなくガーランドしているんで、直ぐに彼のピアノと判ります。これだけシンプルな演奏で、これだけ個性を現出出来るガーランドのピアノ・テクニックって素晴らしいですね。

タイトルが意味深。「空が灰色になった時」。プレスティッジ・レーベル時代のガーランドのトリオ盤は、1956年の初録音から1962年の本作まで合計14枚。この『When There Are Grey Skies』はその最後を飾るアルバムである。

この盤のリリースの後、ガーランドはジャズ・シーンから身を遠ざける。母の病気の介護の為と聞く。しかし、彼のピアノ・トリオ盤はどれもが好盤として残っている。ガーランドのピアノとは「偉大なる優れたマンネリ」。金太郎飴の様なピアノ・スタイルだが、これが良い。一度填まれば抜け出せない強烈な個性を誇るガーランドのピアノである。

 
 

震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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