三輪洋子の『Fadeless Flower』
ジャズのアルバムについては、新譜、リイシュー併せて、毎月かなりの数がリリースされている。そんな中で、時々、雑誌やネットで見て「これは」とピンと来て、理屈無しに直感で入手に至るアルバムがある。このアルバムもそうだった。
いつだったか、スイングジャーナルのディスク・レビューの片隅に載っていたのを、ジャケット写真を見て「ジャケ買い」(笑)。そのアルバムとは、Yoko Miwa『Fadeless Flower』(写真左)。三輪洋子のリーダーアルバムである。
三輪洋子はボストンで活躍するジャズ・ピアニスト。このアルバムは、三輪洋子の日本における2作目。彼女の鍵盤さばきの個性の全貌が露わになるトリオ編成。全曲オリジナルを、女性ミュージシャンの個性を最大限活かした、キュートで美しく、それでいて芯の入ったタッチでじっくり聴かせる。
それにしても、このアルバム「当たり」ですね。それぞれの曲がエレガントで美しく、それでいて感情に流されない、しっかりとしたインプロビゼーションで、ダイナミックに聴かせてしまうところが凄い。しかも、ダイナミックな展開ではありながら、ちっとも五月蠅く感じない。
芯の入ったタッチと、ペダルをうまく活用した響きと潤いを持った音をベースにファンキー&ゴスペルな雰囲気が見え隠れ、といったところが彼女のピアノの個性。男性ジャズ・ピアニストの「ゴーン・ガゴーン」といったハンマー・タッチとは全く異なる、女性ならではのエレガントさを、しっかりとした個性として表出しているのには感心した。
その彼女の個性の源をしっかりと確認できるのが、ラストの9曲目「Finding the Sun」。のっけから、ファンキー&ゴスペル溢れるタッチで、メリハリ良く音を紡いでいく。これぞ、アメリカン・ジャズ・フィーリング。演奏のテンポはあくまでも歩く位の速さで、悠然とゆったりと曲を進める。
なんだか、キース・ジャレットのゴスペル・フィーリング・タッチなピアノを聴いている気分になりそうになるがそうならない。先に述べた「芯の入ったタッチと、ペダルをうまく活用した響きと潤いを持った音をベースに、ファンキー&ゴスペルな雰囲気が見え隠れ」といった彼女の個性を基に、女性ならではのエレガントさを全面に押し出しているからだ。
女性ジャズ・ピアニストの進む道の良き先例として、この三輪洋子のアルバムに、一度、耳を傾けていただきたい。聴けば聴くほど、新しい発見があって、聴けば聴くほど、気持ちが落ち着いて、なんか、僕には大のお気に入りアルバムになってしまいました。
震災から3年11ヶ月。決して忘れない。まだ3年11ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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