フェンダー・ローズを愛でる・11
今を去ること40年前より、フェンダー・ローズの音色が大好きである。鋭い打撃音と長く伸びる減衰音から鳴る独特の音色を発するのが特徴。生の音は、特徴ある澄んだ、アタックの強い音がするが、ピアノに内蔵のトーンコントロールの調整や、アンプをオーバードライブ気味に歪ませた時の低音のうなるような力強い音は独特。
フェンダー・ローズとは、もともとは、ローズ・ピアノ(Rhodes Piano)と呼ばれ、1940年代にハロルド・ローズ(Harold Rhodes)によって発明された鍵盤楽器です。エレクトリック・ピアノの一種。その中で、楽器メーカーのフェンダー社が出しているものを、フェンダー・ローズと呼んでいます。
さて、そんなフェンダー・ローズが大活躍するジャズ・アルバムをコレクションし始めているのですが、実はジャマイカ出身のモンティ・アレキサンダーが隠れたフェンダー・ローズの使い手である、という情報は前から入手していて、そのアルバムは、Monty Alexander『Rass!』(写真)だというのも判っているんですが、CDの時代になって、お目にかかることが無かったんですね。
が、3ヶ月ほど前、iTunes Storeを彷徨っていて、Monty Alexanderを検索したら、なんと『Rass!』が出てきた。あれ〜リイシューされてるやん。偽物とちゃうやろな〜と思って、収録曲、収録順を確認、試聴までして音質を確認し、これはちゃんとしてリイシュー音源だと判断。思わず「ポチッとな」である。
1974年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、Monty Alexander (el-p), Ernest Ranglin (g), “Trini” Clarence Wears (g), Jackie Jackson (b), Sparrow Marlin (ds), Noel Seale (congas), Denzil “Pops” Laing (per)。モンティ・アレキサンダー以外、知らないメンバーばかり。それでも、アルバムに収録された演奏は水準以上の優れもの。そして、ラージ・プロフェッサーなどを筆頭に多くのDJ達にサンプリングされてきた「クロスオーバー・ジャズ」な名曲の宝庫。
1974年と言えば「クロスオーバー・ジャズ」の時代。このアルバムのエレギの音なぞは、クロスオーバー・ジャズで良く聴いた、ちょっと歪んだ、ファズがかかったような音。ちょっと薄くて軽くてチープな味わいが何とも言えない個性で、これがまた良いのですな。そんなジャズとロックの融合、クロスオーバー・ジャズな時代に、フェンダー・ローズの音色のお陰で「ソフト&メロウ」な雰囲気が実に素敵。
演奏はと言えば、ジャマイカな雰囲気が満載。ジャマイカン・フォークソングをはじめとする、カリプソ、レゲエなど、ジャマイカな雰囲気がてんこ盛り。そんなカリビアンな雰囲気の演奏に、フェンダー・ローズの音色が映える映える。それでいて、演奏の芯の部分は、しっかりと「クロスオーバー・ジャズ」している。決してイージー・リスニングに流れない。意外と硬派な演奏である。
モンティ・アレキサンダーのフェンダー・ローズは申し分無い。確かに上手い。フェンダー・ローズの特性を良く理解して、その音色を上手く活かしたジャマイカンな演奏の数々には惚れ惚れします。フェンダー・ローズの音色を心ゆくまで愛でることの出来る「隠れ名盤」的存在のアルバムです。
★震災から3年10ヶ月。決して忘れない。まだ3年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« まだまだ「イエス」は眠らない | トップページ | 音を楽しめるフリーなジャズ演奏 『The Solo Album』 »
« まだまだ「イエス」は眠らない | トップページ | 音を楽しめるフリーなジャズ演奏 『The Solo Album』 »
コメント