格別な、萩原健一『熱狂雷舞』
1970年代のJポップやJロックについても「マニア」っぽくあるのだが、最近、なかなか通好みのアルバムがCDリイシューされているので、これはこれで嬉しいことである。
特にこのアルバムには「参った」。萩原健一『熱狂雷舞』(写真左)である。1970年代の日本のロック・ニューミュージックを代表するBOURBONレーベルの作品が限定リイシューされる中での一枚である。これがまあ、実に渋い、実に鯔背なロック・ライブなのだ。
萩原健一=ショーケンのボーカルは「味がある」ボーカルである。ボーカルはテクニックがなければ認めない、という向きには、全く合わないボーカルではある。といって、下手かと言えばそうでは無い。味があって個性があるボーカルである。はまればトコトンだし、合わなければ全く駄目な、個性豊かなボーカルである。
そんな萩原健一が歌いまくるライブ盤。ショーケンの歌い方は独特で、最初聴いた時は、ショーケンは酔っぱらっているのか、と思った(笑)。しかし、聴きすすめるにつれ、その何ともいえない「凄み」に圧倒された。なんと表現したら良いのか。崩れが魅力の鯔背なボーカルである。
そして、バックを務めるのは、柳ジョージ&レイニーウッド。これがまた渋い。これがまた鯔背なロック・バンドなのだ。そんな鯔背なロック・バンドがバックを務め、ショーケンのボーカルを盛り立て支える。全編に渡って、絶妙なサポートに心底感心する。演奏にコーラスワークにその実力を遺憾なく発揮する。そして、徹底的にショーケンをサポートする。絶対に前には出ない。素晴らしい。
収録された楽曲も秀逸な出来の曲が多く、当時LP2枚組のボリュームにも関わらず、全く飽きない内容になっている。「酒と泪と男と女」や「祭ばやしが聞こえる」「大阪で生まれた女」「本牧綺談」などなど、普通の男性ボーカリストがカバるとちょっとスベってしまいそうな「ベタな」曲も、ショーケンのボーカルにかかれば、鯔背なロックとして、ズシンと心に響く。
ショーケンのボーカルは癖があるので、全ての人達に手放しでお勧めすることが出来ないのが残念でならない。僕にとっては、1970年代の日本のロックのライブ盤の中でも「名盤」の位置づけなので、是非とも聴いては貰いたいのですがねえ。
それにしてもこの『熱狂雷舞』は鯔背で格好良いライブ盤だ。選曲良し、演奏良し。柳ジョージ&レイニーウッドのバッグが格別で、聴き応え十分である。ジャケット写真も雰囲気があって良し。僕にとっては最高に鯔背で格好良い日本のロック盤の一枚である。
震災から3年10ヶ月。決して忘れない。まだ3年10ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。
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