ピーターソン晩年の優れライブ盤
スイングの権化、アート・テイタムを凌ぐ、圧倒的テクニックを誇ったジャズ・ピアニスト、オスカー・ピーターソンが無くなったのが、2007年12月。早いもので、もう7年が経つ。ジャズ界の最大の損失の一つだった。
オスカー・ピーターソンは、僕にとっては、ジャズ者初心者の早くから「お気に入りのピアニスト」の一人で、長年、聴き親しみ続けて来た。現在、所有する彼のリーダー作はかなりの数にのぼる。
今年になって、そんなオスカー・ピーターソンの晩年の名作を聴き直してみることにした。オスカー・ピーターソンは、1925年8月の生まれ。2007年12月に没しているので、晩年と言えば、1990年以降から鬼籍に入る2007年。年齢にすると、65歳から87歳までの間になる。
1990年以降のピーターソンの名盤と言えば、まずはこれらアルバムの名を挙げなければならない。1990年3月16〜18日、ニューヨークのライブハウス、ブルーノートで行われたライブ音源。The Legendary Oscar Peterson Trioのライブ音源。ちなみにパーソネルは、Oscar Peterson (p), Herb Ellis (g), Ray Brown (b), Bobby Durham (ds)。
そのライブ音源は4枚のアルバムに分かれて収録されているが、今日はまずはこの2枚。The Legendary Oscar Peterson Trio『Live at the Blue Note』(写真右)と『Saturday Night at the Blue Note』(写真右)の2枚である。先の一枚が、1990年3月16日の録音。後の一枚が、1990年3月17日の録音。
このライブ盤でのオスカー・ピーターソンは絶好調。往年のテクニックを駆使し、バリバリと弾き続ける。その迫力足るや満点。ドライブ感抜群。スイング感抜群。時々、う〜う〜と唸りながら、疾走を続けるピーターソンのピアノは圧巻である。
よくよく聴けば、絶頂期のピーターソンと比べれば、少しタッチの迫力に欠けるし、スピード感もほんの少し翳りが見える。当たり前の事だが、若き日の絶頂期と比べれば、特に溌剌感と切れ味が違う。しかし、人間は歳を取れば、それは仕方の無いことで、逆に、65歳でこのテクニックと迫力は他の追従を許さない。
逆に余りのテクニックと迫力で、曲によっては「五月蠅い」くらいだ(笑)。しかし、そんな時もピーターソンは、良い感じで歳をとったと思った。若い時の様に、さらに前に前にとは出ない。おっと思って、後ろに控えるいぶし銀ギタリスト、ハーブ・エリスにフロントをスッと譲る。良い歳を取って、素晴らしい余裕。
このピーターソン65歳のライブは、グループ・サウンズとして、とてもバランスが良い。故に、グループ全体の迫力が凄い。しかし、決して耳につかない。音が洗練され、良い音が出ているのだ。まあ、これだけ名うてのベテラン、名手揃いである。とにかく、素晴らしい演奏の数々である。往年のピーターソンがここにある。
しかし、日本の諺に「残り物には福がある」とある。そう、この1990年3月16〜18日、ニューヨークのライブハウス、ブルーノートで行われたライブ音源は、あと残りアルバム2枚ある。実は、この残り2枚のアルバムが絶品なのだ。後日、絶対にご紹介したい。ピーターソンの耽美的で優しいタッチのバラードが心ゆくまで堪能できるのだ。
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