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2015年1月 9日 (金曜日)

年末年始にピッタリのユーミン盤

去年の暮れから新年にかけて、酷い風邪を引いて散々な目に会った。丸4日間、ほぼ寝たきりの状態で、紅白歌合戦は半分だけ、元旦は、食事時以外は床の中。やっと熱が引いたのが1月の3日になってから。ほんと、久し振りに散々な年末年始であった。

さて、僕にとっての1970年代のJポップには、それぞれの季節に合ったアルバムというのがある。春夏秋冬、それぞれの季節にピッタリのアルバム、そのアルバムを聴けば、そのそれぞれの季節の思い出や風景が脳裏に浮かぶ、そんなアルバムが多々ある。恐らく、1970年代を過ごした多感な学生時代の中で、様々な良い思い出、悪い思い出の中で、印象深いJポップのアルバムが流れていたんだろう。

例えば、松任谷由実、ユーミンのアルバムなどは、その季節性のあるアルバムが多くあって、この年末年始の季節では、1981年11月リリースの『昨晩お会いしましょう』(写真)が、そんな「季節に合ったアルバム」の一枚である。

このアルバムがリリースされた11月1日の頃は、僕は大学4回生。就職先も決まって、卒論にも目処が立ち、卒業までの残された自由な時間を謳歌していた時期でもある。そんな時期にこのユーミンの『昨晩お会いしましょう』はリリースされた。

このアルバムは、ユーミンのアルバムの中でも特に印象深いアルバムの一枚で、冒頭の「タワー・サイド・メモリー」の存在がその理由。この「タワー・サイド・メモリー」の舞台は神戸。ここでのタワーとは「神戸ポートタワー」のこと。僕の大学は神戸にあって、この歌は、ユーミンのご当地ソングの一曲だが、この曲がいたく気に入った。

以降、このアルバムの音世界は、ユーミンお得意の「私小説ソング」のオンパレードで、松任谷正隆の秀逸なアレンジと共に、アルバム全体の出来は非常に良い。捨て曲無し、ユーミンの才能が遺憾なく発揮された代表盤の一枚だろう。

そんな捨て曲無しの中でも、やはり「守ってあげたい」「夕闇にひとり」「カンナ8号線」あたりの出来が抜きんでている。詩、曲、共にベストに近い出来で、今の耳できいても聴き応えがある。

そして、年末年始の季節に合ったアルバムである理由はラストの「A HAPPY NEW YEAR」の存在。1981年当時、この曲を初めて聴いた時、なんて良い曲なんだ、と思いっきり感心した。ユーミンって凄いなあ、と単純に思った。
 

Photo_2  

 
A Happy New Year!
大好きなあなたの部屋まで
凍る街路樹ぬけて急ぎましょう
今年も最初に会う人が
あなたであるように はやく はやく

A Happy New Year!
新しいキスを下さい
そして鐘の音 通りにあふれて
今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

A Happy New Year!
今日の日は ああどこから来るの
陽気な人ごみにまぎれて消えるの
こうしてもうひとつ年をとり
あなたを愛したい ずっと ずっと

今年も沢山いいことが
あなたにあるように いつも いつも

 

こんな素敵な詩と曲を持った「新年を祝う歌」が今まで日本にあっただろうか。詩の世界も私小説風で実にモダン。曲がこれまた、耽美的かつ深淵、懐深い響きをたゆたえ、シンプルかつリリカル。ピアノの響きが印象的で、これは名曲だと僕は思う。

余談になるが、原田知世主演の映画「私をスキーに連れてって」の中で、この「A HAPPY NEW YEAR」が挿入歌として使われたシーンが僕は大好きで、「明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします」と彼に交際OKの意志を伝える知世ちゃんの台詞には今でもしびれます(笑)。

有名なヒプノシスのデザインのジャケットは「やり過ぎ」であまり好きでは無い。ちなみに発売当時のキャッチコピーは「過去、現在、未来、時の流れは 今 ユーミンに止められた。あなたの青春の一場面が息づく」。う〜ん、これも「やり過ぎ」ですね(笑)。

それでも、このアルバムの内容は上出来で、この『昨晩お会いしましょう』はユーミンのアルバムの中でも上位に位置する「お気に入り」の一枚です。

 
 

震災から3年9ヶ月。決して忘れない。まだ3年9ヶ月。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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