耽美的で繊細なバレルのギター
寒い日が続きます。昨日の午後から今日の午前中にかけては、風が強くて体感温度がどんどん下がって、寒いのなんのって。これだけ寒い日が続く冬も珍しい。運動不足は大敵なんですが、なかなか外に出て散歩する気にならないですね。
さて、寒い日、暖房の効いた部屋で聴くジャズは、耽美的で静謐感のある落ち着いたジャズが良い。さて、何を聴くか、ということで選んだアルバムがこれ。Kenny Burrell『Moon and Sand』(写真左)。1979年12月の録音。1980年のリリースになる。ちなみにパーソネルは、John Heard (b), Roy McCurdy (ds), Kenny Burrell (g), Kenneth Nash (per)。
リリースされた1980年は、フュージョン・ジャズ全盛時代なのだが、リーダーのケニー・バレルはフュージョン・ジャズに流れることなく、しっかりとメインストリーム・ジャズに残って、聴き易い、イージー・リスニング風のアルバムを残している。このアルバムのそんな中の一枚で、コンコード・レーベルからのリリースになる。
ケニー・バレルのギターは、漆黒のブルージー・ギターという印象が強いが、このアルバムでは、耽美的で繊細な面も前面に出ていて、バレルのギターの懐の深さを十分に感じられる内容になっている。
このアルバムでは、アコギとエレギを使い分けており、特に、アコギの演奏が印象に残る。冒頭のタイトル曲「Moon and Sand」がその好例で、バレルのアコギは実に「耽美的で繊細」。最初に聴いた時は、絶対にケニー・バレルが弾いているとは思わない。ブルージーな雰囲気はしっかり残っているが、そのブルージーさもかなりライトなもので、どっぷりとジャジーという雰囲気では無い。
5曲目の「Blue Bossa」もアコギの演奏で秀逸。ボサノバ・ジャズの名曲であるが、ボサノバを意識して、リズム&ビートを必要以上に跳んだり跳ねたりせず、しっとりとしたボサノバ・ビートの上で、バレルのアコギが耽美的に繊細にアドリブ・ラインを紡いでいく。絶品である。
メリハリのある、バレルのギターがバリバリ弾きまくられるアルバムでは無いが、耽美的で繊細な演奏がアルバム全体にぎっしりと詰まっている。この耽美的で繊細な演奏はイージーリスニング風で、フュージョンぽいと言えばフュージョンぽいが、バックのリズム・セクションであるベースとドラムは、しっかりとメインストリーム風のリズム&ビートを供給しており、意外と硬派な演奏はしっかりと耳に残る。
一聴すると地味で繊細なアルバムで、これってジャズかなあ、なんて第一感で思ったりしますが、聴き込むほどに、このアルバムの耽美的で繊細なバレルのギターが癖になります。1970年代のケニー・バレルの佳作の一枚でしょう。
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